親が死んで、故人の自宅を相続するというのは良くある話です。
相続される方が自宅を持っていない場合には、相続人ご自身が自分で使用されることも考えられます。
しかしながら、、生活に不便な場所にあったり、老朽化していたりすると、そのままご自身で使用することが難しい場合も多く存在します。
そんな場合には、その自宅を売却するか、違う用途で有効活用することが考えられます。
土地の有効活用方法としては、色々な方法が考えられますが、どの様に有効活用をしたら良いか悩まれている方も多いかと思います。
今回は、使用していない事例を有効活用する事例ついてご紹介します。
使用していない土地の有効活用事例
親の土地を相続した時に、
- 自分で使用するのか?
- それとも、売却して土地を現金にするのか?
- 古い家を取り壊して新しい家を建てるのか?
- はたまた、その土地にアパートやマンションを建築して人に貸すのか?
使い方は様々か思います。
土地を活用するには、土地の広さや立地によって、それに見合う有効活用方法を考える必要があります。
ご自身が、自宅を持っていない場合にはその土地をそのままご自宅にしてしまう方法も考えられますが、通勤や生活に不便な場所にあった場合には、そういうわけにもいきません。
建物が建っている土地の有効活用
建物が建っている場合には、最初に、その建物が再利用できるかどうかを検討します。
古い家であっても、土台がしっかりしている建物であれば、リフォームすることにより立派な家にすることが可能です。
家のリフォームをする場合には、どの業者を利用するかが非常重要です。
以下の記事では、リフォーム業者の比較サイトを紹介しています。
なお、親の持ち家を子供がリフォームする場合には、贈与税が発生するため注意が必要です。
以下で紹介します。
親の持ち家に子がリフォームをする場合の注意点
親が持っている家が古くなったので、新しくしたいと思いリフォームしてしまうと贈与税が発生してしまいます。
子供が直接リフォーム業者に依頼して代金を支払うと、子供から親への贈与になってしまうのです。
親子で一緒に住んでおり、親が既に働かなくなった場合に家をリフォームしようと子供が考えてリフォームしてしまう様なケースは頻繁に発生します。
しかしながら、そのリフォーム代は子供から親への贈与になるのです。直接親にお金を渡した訳ではありませんが、税法上は、親がリフォームという恩恵を受けたため、親はそのリフォーム代に相当する贈与税を税務署に支払う必要があるということです。
これを回避するには、以下の様な方法があります。
- 贈与税の非課税枠である110万円の贈与を何年かに分けて、子供から親へ贈与して、親にリフォームしてもらう
- 親が自宅の一部を贈与税の110万円の枠の範囲で贈与して、贈与された部分に対して子供がリフォームをする
1については、手続きが簡単なので、400万円程度の贈与であれば、4年間で実現する事が可能です。
2については、将来の家の相続に対する節税にもなりますが、その変わり、毎年登記を行う必要があるため手続きが面倒になります。
また、親の家に住んでいる時に、家賃を親に渡していた場合には、賃貸として扱う事も可能です。
賃貸の場合には、賃貸部分に対するリフォームは問題ありません。
更に、賃貸なので貸家建付地という判断になり、土地や建物の相続税も安くなります。
但し、「賃貸として扱う」のは非常に大変です。
子供は、一般相場と同程度の家賃を支払う必要があり、更に、家賃を貰った親は、その家賃に対して所得税と住民税を払わなければいけません。
間違っても、「使用貸借(タダで貸す)」を賃貸と勘違いしない様にしましょう。
税務署に「賃貸」であることがキチンと伝わる振る舞いが重要です。
建物が建っている土地を更地にする
建物が既に老朽化してしまっている場合には、一旦取り壊して建て直ししたり、売却することが考えられます。
売却するのに取り壊しするの?
と思われた方も居ると思いますが、不動産は実は、建物が建っていない土地だけの方が利用価値が高いので高く売れることが多いのです。
このため、古家が建っている土地では売却が難しくても、土地だけにすると売れることがあります。
空き地の解体については、以下の記事で説明していますので、ご参照下さい。
しかしながら、欠点もあります。
家が建っていると、「住宅用地」として課税標準の減税措置を利用することができるということです。
この制度を利用すると、以下の様な控除を受けることができます。
●小規模住宅用地【200㎡未満の住宅用地】
固定資産税は価格×1/6
都市計画税は価格×1/3
●一般住宅用地【200㎡を超える住宅用地】
固定資産税は価格×1/3
都市計画税は価格×2/3
以下の記事で固定資産税の節税に対する詳しい説明をしていますのでご参照下さい。
「空き地」の有効活用事例
前述した様に、空き地を空き地のままにしておくと、固定資産税が高くなるので、空き地を有効活用しましょう。
最初に、土地の地目が何であるかが重要です。
地目とは、土地が「どの様な目的の土地であるか?」ということです。
田畑や山林と宅地は色々と制度が変わってきます。
地目の詳細については、以下の記事で紹介していますのでご確認下さい。
土地が、宅地や雑種地である場合には、以下の様な土地の有効活用事例があります。
また、建物を建てて賃貸経営をする土地の有効活用事例もあります。
更に、その他の土地の有効活用事例として以下の様なものもあります。
色々な活用事例がありますので、それぞれの特徴を把握してご自身の予算を考えた上で有効活用方法をご検討下さい。
くれぐれも、無理な投資はしないことが重要です。無理な投資は、資産を減らしてしまい、最悪の場合は、借金を抱え込んでしまうことに成りかねません。
定期借地
定期借地とは、期間を定めて土地を他人に貸すことにより賃料を得るビジネスです。
ビジネスとはいえ、初期費用が殆どかからず、準備も特に必要なく、維持管理の費用もかからないので、余っている土地があるならお勧めの方法になります。
土地を使い道なくただ単に寝かせておくだけであれば、「定期借地」を考えてみてはいかがでしょうか?
定期借地は、土地の所有権はそのまま確保し、土地の利用権のみを他人に貸し出すことにより賃料を得るという制度なので、土地を子孫に残したいと考えた場合に非常に有効です。
通常利用される定期借地の権利は、一般定期借地権というもので、50年以上もの長期間において、土地の使用ができる借地権で契約更新や期間延長されることがありません。
また、建物の買取請求権も発生しないので、契約が終われば更地で戻ってくる点が貸主にとっては、利点です。
定期借地権については以下の記事でも説明しているのでご参照願います。
貸し農園
最近の流行りとして、自分で新鮮な野菜を造りたいという方も増えています。
貸し農園であれば、小さな土地や歪んだ土地であっても貸し出すことが可能です。
10坪以下の小さな区画に区切って複数の人に貸すと収益性が高くなりますが、そのぶん契約の手間等がかかります。また、区画に区切る場合には、水道・柵等の初期投資が必要になります。
貸し農園は、借地となるため、相続税の節税効果も発生します。
土地として他の土地活用への転用も簡単に行うことが可能です。
広告看板
余り知られていないのですが、広告看板は簡単に実現可能な土地活用の1つです。
簡単に実施することができ、初期費用も殆どかからないで、中止する場合にも簡単に撤去できるという特徴があります。
土地活用に向いている看板としては、「野立て看板」です。
これは、道端や田畑などに設置する看板のことで、店舗や駐車場への誘導、ブランディング、商圏拡大などのために歩行者やドライバーに認知させるという目的を持っています。
看板の製作料や設置料といった必要な費用は広告主が負担することが多く、準備期間も短く、設置してからは土地の賃貸料として安定した収入が見込めます。
そして、設置後の管理やメンテナンスについても広告主が行ってくれることが殆どなので、ラクに運営して収入を得ることができるも魅力です。
更に、広告看板は簡単に撤去することができるので、べつの用途に利用したり、売却したりすることも簡単に実現可能です。
土地の形状についても、どんな形の土地であっても看板を建てることさえできれば可能なビジネスとなります。
しかしながら、以下の様な注意点も存在しています。
- 小さい看板の場合は、年間で1~5万円位と余り収入にならない可能性がある。
- 看板は、道路交通法や建築基準法など様々な法律が関わってくるので看板の大きさやはみ出し等に対して自治体の条例を確認して貸し看板ができるか確認する
- 台風や突風などにより、落下したり吹き飛んだりするリスクがあり、これにより被害が出た場合に賠償責任に問われてしまことがあるので、看板落下防止のメンテナンスや草刈り等が必要
- 看板広告を設置する価値がある土地でなければ、需要がない。
余っている土地を直ぐに活用できない場合のつなぎとして「広告看板」を建てることを検討してみてはいかがでしょうか?
自動販売機の設置
自動販売機の設置は、前述の「広告看板」に似ています。
基本的には、土地の一部に自動販売機を設定して貰うだけで、以降は、売上回収・補充・空き缶回収まで、全て設置会社に任せる方式です。
この場合、設置費用等は設置会社が負担してくれるので、土地の提供者は、月々2,000円~5,000円程度の電気代のみです。
売上の20%程度の収入が得られますが、出来高制なので、収益性は販売本数に依存します。
トランクルームやアパート経営や駐車場など、他の活用方法と合わせて、自動販売機を設置するスペースがある場合には検討しておくと良いです。
僅かな土地スペースの貸出で収入を得ることが可能です。
トランクルーム
トランクルームとは、普段はあまり使う機会がないのに、捨てることができない荷物を収納可能な、レンタル物置です。
契約により、一定期間、物置(トランクルーム)を借りることができ、自由に出し入れが可能となります。
住宅街やオフィス街などの人口密集地域が望ましいですが、需要が立地条件にそれほど左右されないという特徴があります。
土地の形状や大きさに異存しないが、駐車・荷降ろしのスペース確保が必要なため、間口と前面道路の幅は広いほうが有利です。
トランクルームの詳細については、以下の記事を参照願います。
トランクルームビジネスは、空き地に物置(トランクルーム)を設置するだけなので簡単に開始することが可能です。
実際には、トランクルームの業者と契約して、土地を借り上げて貰う「リースバック」方式か、物置(トランクルーム)のレンタル及び管理を業者に任せる「業務委託」方式となります。
リースバック方式とは?
リースバックは、トランクルームを1つの事業者に一括して借り上げてもらい、固定賃料を得る方法です。
集客・運営は借主が行なうため、管理に手間をかけずに安定した収益を得られますが、一方で事業者の撤退リスクがあります。
業務委託方式とは?
業務委託は、委託会社に委託料を払い、トランクルームの集客・運営を任せる方法です。
管理の手間を削減しつつ、経営次第で手元に残る収益を増やせますが、稼働率が思わしくない場合は赤字が出る可能性もあります。
トランクルームの特徴は、初期費用が数百万円程度で済み、準備期間が短期間で維持管理費が殆どかからないで、他の土地活用にも簡単に転用することが可能という特徴があります。
土地は、賃貸に当たらないので、相続税の節税効果としては殆ど発生致しません。
収益を得ていく為には、広告等で集客をしていく必要があります。
駐車場経営
駐車場経営は、土地を賃貸にしないで活用する方法で代表的なものです。
土地は、賃貸に当たらないので、相続税の節税効果としては殆ど発生致しません。
しかしながら、土がむき出しの青空駐車場でない場合には、200㎡まで50%引きできる、「貸付事業用の小規模宅地等の特例」を使用することが可能です。
空き地にアスファルトをひくか、砂利を撒くことによって、特例が使えるようになります。
以下の記事にて、駐車場経営について詳しく説明していますのでご参照下さい。
駐車場経営には、平面駐車場経営と立体駐車場経営があり、運用方法としては「月極駐車場」と「コインパーキング」があります。
平面駐車場は、初期費用を押さえれば数百万円程度で実現することが可能で、それなりの利用が見込めれば、それなりの収益を定期的に得ることが可能で、維持管理費も殆どかかりません。
また、その土地を他の土地活用に転用することも簡単に実現可能です。
土地の立地が駅やオフィスの周辺 であれば、安定した収入が期待できます。
平面駐車場の経営に関しては、以下の記事で試算していますので、参考にして頂ければと思います。
一方、立体駐車場は、初期投資が数千万円程度かかり、土地の転用も難しくなります。
準備期間も建設が必要となるため3ヶ月以上は必要となり、維持管理費も高くなります。
駅やオフィスの周辺で人の入れ替わりが激しい場所であれば、高収益を期待することが可能です。
太陽光発電
太陽光発電は、田舎の広い土地を持っている場合で、賃貸物件の入居者やテナントへの集客が見込めない場合に有効な方法です。
発電した電力を電力会社に買い取ってもらう仕組みを利用するため、日当たりが良く、地盤に問題さえなければ、立地条件が悪くても収益化できる可能性があります。
太陽光発電で得た電力は以下の様な値段で買取って貰うことが可能です。
区分 | 1kWあたり買取価格 | 買取 期間 | |
2021年度 | 2022年度 | ||
250kW以上 | 入札制度により決定 | 入札制度により決定 | 20年間 |
50kW以上250kW未満 | 11円 | 10円 | |
10kW以上50kW未満 | 12円 | 11円 | |
10kW未満 | 19円 | 17円 | 10年間 |
※2021年3月時点の太陽光発電の電力買取価格です。 |
太陽光発電設備を導入した場合は、固定価格で、必ず電力を買い取ってもらえるので、買取期間中には「電力が売れない」「買取価格が値下がりする」といったリスクがなく、定期的な収益が見込めます。
ただし、以下の様なデメリットも存在します。
- 買取期間終了後の買取価格は保証されていない
- 天候の悪化により発電量の減衰が発生し、収益が下がる恐れがある
- 台風や水害などの災害により設備に支障が発生した場合は、修繕費が必要
- 太陽光発電設備は建築物とは扱われないので相続税の節税対策にはならない
太陽光発電投資は、原野や山林など通常売ることができない土地の場合には良いかもしれません。
コインランドリー経営
最近は、共働きも多く、洗濯の時間が取れないとか、毛布等の大型の洗濯物が洗濯できないという事情からコインランドリーを利用する方も多くなってきました。
住宅街に土地がある場合には、コインランドリー経営をするという方法があります。
コインランドリー経営は、自営またはフランチャイズで経営する方法があります。
また、洗濯機・乾燥機等の設備は、購入方式とリース方式があります。
コインランドリーの設備自体はそんなに広い土地が無くても大丈夫ですが、来店者として車が多いため広い駐車場を確保しておく必要があります。
コインランドリー経営は、土地にコインランドリーを建設し利用者から利用料金を得る手法です。
建物の建設費用が借家やアパートと比較して安価なことや、ランニングコストがあまりかからないという特徴があります。
自分でコインランドリーを運営する場合には、以下をご自身で実施する必要があります。
- 店舗や機械の定期的な掃除
- 洗剤の補充
- 両替機のコインの補充や集金
- トラブル対応など
一方、コインランドリー運営のほぼ全てを委託する開業の場合には、上記の様な手間は全て委託業者が実施してくれます。
コインラインドリーの場合、高額な業務用の洗濯機や乾燥機などを含め、内装にかかる設備費用などのほとんどを即時償却として計上することが可能であり節税効果が高いが、全て委託業者に依頼するとその恩恵が受けられなくなります。
このため、コインランドリー経営をする場合には、ご自身で運営するか、委託業者に依頼するかをよく考えて選択する必要があります。
一度定着した顧客が付けば、定期的に利用して貰えるので安定的に収益を上げることも可能です。
しかしながら、コインランドリー経営には以下のようなデメリットもあります。
- 洗濯機や乾燥機、防犯カメラ等の器機を最初に導入する必要があり初期費用が高くなってしまう可能性がある。
- 利用者が少ないような立地の場合は、安定した収入が得られず投資資金が回収できない可能性がある。
- 周辺住民に認知されて売り上げが安定するまで時間がかかる。
- ライバル店舗が近くにできると収益が顕著に落ち込んでしまう
このため、人が集まりやすいコンビニ等が近くにあることが望ましいです。
コンビニ等が近くにあると、両替機の小銭が切れた時の対応や、洗濯待ち時間を潰せるし、悪質な客が寄り付くのを避ける役目にもなります。
賃貸経営を考えた土地の有効活用事例
賃貸経営をする場合には、ご自身が何の目的で賃貸経営をするのかを良く考えてから実施しないと失敗します。賃貸経営は思っている以上に手間が掛かります。
単に「土地活用」といっても様々な目的があります。また、相続した土地の内容によっても対策は大きく異なってきます。短期資金を得たいのか時間を掛けて設けを出す投資としたいのか?
不動産賃貸で家賃収入を得る相続対策の場合には、事業投資になるため、自分が居なくなった時に承継者がキチンと家賃収入を得て、設備や建屋の維持管理を行い、経費を把握し、納税等の手続きをきちんと実施することが可能であるかが重要です。
相続を考えた賃貸経営
通常の維持修繕のための費用は相続財産を構成しないためリフォームが必要な古家がある場合には死亡前にリフォームを実施しておきましょう。
家屋の使用貸借は貸家建付地として減額することはできない分、相続財産の総額が縮小されるので、節税効果があります。もちろん、借金(融資)も相続されるので、安易な借金はお勧めできません。
土地は、建物の建築により、相続税の節税効果が生まれます。ただし、貸家や貸家建付地は、相続人の自由な使用を制限するものでもあります。
また、賃貸不動産を購入して相続税の節税はできたとしても、空室が多く、事業として「赤字経営」になり、持ち出しのほうが多ければ、節税のメリットも消えてしまいます。
節税効果だけに目を奪われるのではなく、事業として成り立つ不動産物件なのかどうかを見極めることが重要です
不動産経営に失敗してしまえば、大きな損を抱えることもあるでしょう。
節税対策も、不動産経営も、信頼できる税理士等に良く相談して検討するべきです。
デメリット
不動産を使った節税は諸刃の剣です。
- 不動産を購入することによって手元のお金が減ります。
- 建設費用をローンで組むと借金が残る
- 空室のリスクがある
- リフォームなどにかかる資金も発生する
- 購入した不動産がすぐ売れるとは限らない
買取業者を利用すると、中間マージンを取られてしまい、購入価格より安い価格で売ることになります。
不動産投資業のような常に賃貸物件を売り買いしている人以外が、亡くなる直前に不動産を活用した相続税の節税対策については、否認されるリスクも高いため注意が必要です。
現金で支払っても、借入金で支払っても効果はほぼ同じですが、借入金のほうが利息や手数料が発生するため、より多く相続財産を減らしてしまいます。
戸建賃貸経営
土地に賃貸用の戸建を建築し、入居者から賃料を得る方法です。
顧客は、「家族」になります。
「家族」での賃貸の場合には、長期的な安定収益が見込めるというメリットがあります。
一旦、「家族」で賃貸すると十年以上住み続けるのが一般的で、管理の手間や修繕費用が発生することは可能性が低く、安定した収益を得続けることが可能です。
デメリットとしては、初期の建築費用やリフォーム費用が掛かることと、借り手が決まるまでの空室リスクがあることです。
また、「家族」の場合には長期が一般的なので、その間、その土地を別の用途に利用したいと考えても空けて貰えるとは限りません。
アパートの賃貸経営
アパートの場合には、人の入れ替わりが激しいため、長期的な経営を視野に入れた計画が必要になります。
また、アパートは共有部分の光熱費や維持管理、清掃等を実施する必要があるため、業者に依頼するかご自身で実施されるかしなければなりません。
業者に頼む場合には、定期的に人件費が必要となりますので、その分収益も減ります。
投資額も高額となるため、「戸建賃貸経営」と比較して楽なビジネスモデルでは無いかもしれません。
一旦、アパート経営をすると、住民がいる限り中々止めることが難しくなります。このため、数年ご自身で経営した後に他者へ売却するという方も結構居られます。
アパート経営は、入居率が命なので、集客の為の広告宣伝費等も必要になることを覚えて置いて下さい。
なお、アパート経営の運用モデルについては、以下の記事でシミュレーションしていますのでご覧下さい。
また、アパート経営のご相談先は、以下の記事で紹介しています。
賃貸マンションの経営
賃貸マンションもアパート経営と粗同じです。
大きな違いは、建築時の材質等で強固な材料を使用するため、建物の寿命が長いということになります。また、建物の建築費用も高額になります。
マンション経営の特徴については、以下の記事で紹介していますので、ご参考にして下さい。
その他の土地活用
二世帯住宅の簡単な活用
この内容は、土地活用というよりも、二世帯住宅を生前に持ってる場合の節税対策です。
簡単に実現でき、費用も殆ど掛からない方法なので、二世帯住宅をお持ちの方は是非生きてる内に実施して下さい。
平成26年税制改正によって、二世帯住宅の別区画に住んでいる場合でも、同居親族として小規模宅地等の特例が使えるようになりました。
ただし、区分登記されている二世帯住宅は対象外なので、相続発生前に合併登記をすることによって、小規模宅地等の特例が使える二世帯住宅にすることができます。
二世帯住宅で暮らしている方は、中で行き来ができなくても、同居親族と扱われます。
ただし、お住まいの二世帯住宅に区分所有登記がされている場合には、小規模宅地特例は受けられません。
共有登記されている場合は、問題なく同居扱いとなり、小規模宅地等の特例を使えます。
テナント経営
テナント経営とは、コンビニエンスストアやドラッグストア、飲食店や服飾店などのチェーン店と提携して商売を始めることです。
ご自身で店舗を運営してテナント経営をするには、広さや内装・外装、用意する設備にもよりますが、居住用の建物よりも高い建築費用がかかります。
テナントにもよりますが、建物はテナント側の負担で建築してもらう方法や出店を希望するテナントから建設協力金を集めてテナントの要望に沿う建物を建築する方法もあります。
どのような土地が向いているかは、テナントの種類によって左右されます。
例えば、飲食店なら集客が見込める立地、オフィスなら交通の便が良い駅近の立地が適しています。
テナント経営は、うまくいけば大きな収益が見込めますが、テナントの撤退リスクや、近隣住民とのトラブルリスク等があります。
高齢者施設
高齢世帯は今後さらに増加が見込まれるため、保有する土地に高齢者施設を建てることで、介護事業者や不動産業者の一括借上による事業経営を行えます。
高齢者施設は大きく「民間施設」と「公的施設」に分けられ、求められる機能により投資額や土地のとの相性は異なります。
- 民間施設:介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など
- 公的施設:特別養護老人ホーム、ケアハウス
このうち、サービス付き高齢者向け住宅は、一定の要件を満たすことによって、補助金や税制優遇を受けられまが、リハビリや医療、介護などの幅広いサービスや多くのバリアフリー設計を取り入れるので、投資額は大きくなります。
土地活用のリスク
前章までは土地活用をご説明してきましたが、土地活用には、必ずリスクが付き纏います。
どの様なリスクがあるかを知ることで対策を立てることも可能になります。
以下では、土地活用のリスクについて一覧にまとめましたので、参考にしてください。
リスク | 説明 |
空室リスク | 賃貸アパート・マンション経営などにおいて、重視するべきリスクです。事前の市場調査からその土地における需要を把握し、空室リスクの低い建物を建築することが大切です |
賃料下落リスク | 経年により使用感の増加や設備の老朽化が進むと、建物の価値が落ちることから家賃設定も低くなっていきます。収支計画を立てる際は、経年による家賃収入の低下を視野に入れ、家賃が下がることによるリスクをシミュレーションしておくことが大切です |
金利上昇リスク | 巨額な投資が必要な土地活用においては、借入れが必要となるケースもあります。借入れ金額が大きくなるほど金利の変動による損失リスクが高まるため、借入れを伴う土地活用では、金利変動によるリスクを想定した資金計画を立てましょう。金利は、1%前後であれば変動する可能性があります。 |
修繕リスク | 建物の性能や品質向上のために修繕の必要がある場合、管理維持費や修繕費用がかかります。特に、長期間にわたり建物を維持するには修繕リスクは避けられません。 建築計画を立てる際は「どのくらいのタイミング」で「どのような修繕」が必要になるのか想定し、毎年の家賃収入から修繕費用を積み立てておくと安心です。 ただし、想定外のタイミングで修繕の必要があると資金計画に狂いが生じるため、修繕を行わなくて済むよう、建物の構造や部材を定期的に点検することも欠かせません。 |
税金リスク | 土地を更地のまま保有する期間が長引くほど、固定資産税や都市計画税の負担が大きくなります。相続などにより土地の取得費がほとんど発生していないとしても、土地を活用しない期間が長引くだけで損失が増加するリスクを念頭に置き、計画的な土地活用を行うことが大切です。 |
管理リスク | 土地を更地のまま保有している間は、草木の繁茂やゴミの不法投棄を避けるため、定期的な管理が必要です。個人で土地を管理する場合、草刈りやゴミの処分にかかる費用と手間は避けられないリスクと言えます。管理の手間を省いて土地を適切に所有するには、土地管理の専門業者へ管理を依頼することも可能です。 |
相続リスク | 相続発生時、財産となる土地が更地だった場合は、建物が建てられている場合に比べて、相続人に課せられる相続税が上がってしまいます。相続対策も視野に入れた土地活用では、土地を更地で保有する期間がなるべく短くなるよう、賃貸アパート・マンション経営を計画できると安心です。 |
市場変動リスク | 長期的な土地活用においては、周辺環境の変化や人口の増減などから、その土地を取り巻く市場が変化するリスクがあります。計画されている開発事業や人口の推移などから市場のニーズに予測を立て、より長期的な活用が見込める方法を見出すことが大切です。 |
自然災害リスク | 地震や水災など、予知できない自然災害のリスクがあります。土地や建物が壊滅的な被害を受ける前に、被害の規模を想定した対策を講じることが大切です。同時に、加入している保険内容についても見直しましょう。 |
まとめ
いかがでしたでしょうか?
取得した土地を活用する方法を幾つかご紹介しましたが、土地は資産としては将来に残せる資産として非常に有効ですが、そのう運用方法を間違えてしまうと、年々発生する土地のマイナスを補填していくことになってしまいます。
土地をそのまま寝かせておいても毎年の固定資産税が掛かりますし、活用しようと賃貸等を経営するとより大きな赤字を生む可能性もあります。
また、売却してしまうと譲渡所得税が掛かりますし、そのまま子供に相続させると遺産分割時の揉め事にもなります。
土地は、有効に活用できないと大きなマイナス要因となるため、十分検討して対策を講じることをアドバイスさせて頂きます。
なお、土地の活用については、税理士が専門家になります。
土地に強い税理士に相談して、土地の有効活用を図りましょう。
以下の記事では、税理士をご紹介していますので、是非参考にして下さい。
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