土地の路線価評価額を求めたいけど、どうしたら良いか解らない。
計算の方法は知っているけど具体的な方法を知りたい
そんなときは、以下の記事を参照下さい。
- 土地評価における画地調整
- 不整形地の評価
- がけ地等を有する宅地の評価
- 特殊な道路の評価
- まとめ
土地評価における画地調整
正面路線の判定(1)
次の図のように2の路線に面している宅地の価額を評価する場合には、a、bどちらの路線を正面路線として評価するのでしょうか。
【回答】
原則として、その宅地の接する各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の高い方の路線を正面路線とします。したがって、図の場合には、bの路線を正面路線として評価します。
路線価 奥行価格補正率 | ||
a路線 | 4,000,000円 × 0.96 = 3,840,000円 |
路線価 奥行価格補正率 | ||
b路線 | 3,900,000円 × 1.00 = 3,900,000円 |
なお、地区の異なる2以上の路線に接する宅地の場合には、正面路線は、それぞれの路線の路線価に各路線の地区に適用される奥行価格補正率を乗じて計算した金額を基に判定します。この場合、路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額が同額となる場合には、原則として、路線に接する距離の長い方の路線を正面路線とすることとなります。
(注) 評価する土地が旧財産評価基本通達24-4の「広大地」に該当する場合の正面路線の判定は、原則として、その広大地が面する路線の路線価のうち最も高いものとなることに留意してください。したがって、上図の評価対象地が広大地に該当するときには、a路線の価額を基として広大地評価を行うことになります。
正面路線の判定(2)
次のような不整形地甲は、いずれの路線が正面路線となるのでしょうか。
【回答】
正面路線は、原則として、その宅地の接する路線の路線価(一路線に2以上の路線価が付されている場合には、路線に接する距離により加重平均した価額)に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の高い方の路線となります。
この場合における奥行価格補正率を適用する際の奥行距離は、不整形地の場合には、その不整形地に係る想定整形地の奥行距離を限度として、不整形地の面積を間口距離で除して得た数値とします。
したがって、事例の場合には、A路線からみた場合の奥行距離は20m(500÷25m=20m<30m)、B路線からみた場合の奥行距離は30m(500÷10m=50m>30m)となります。
これらのことから、事例の場合には、次のとおりA路線を正面路線と判定することになります。
宅地が2以上の地区にまたがる場合の画地調整
次の図のように、宅地が2以上の異なる地区にまたがる場合の画地調整はどのように行うのでしょうか。
【回答】
宅地が2以上の地区にまたがる場合には、原則として、その宅地の面積により、いずれか一の地区を判定し、判定した地区にかかる画地調整率を用いて評価します。
事例の場合には普通商業・併用住宅地区の画地調整率を用いて次のように評価することになります。
(注) 上図のように奥行距離が一定でない宅地の奥行距離は地積を間口距離で除して求めます。
(この場合の奥行距離は、想定整形地の奥行距離を限度とします。)
315 ÷ 20m = 15.75m < 20m
不整形地補正率を乗じて全体の価額を算出します。
ただし、それぞれの地区の画地調整率を用いて、例えば、次のように合理的な方法により評価することができる場合には、その方法によって差し支えありません。
(注) 上記の場合、普通商業・併用住宅地区に属する部分の宅地については、普通住宅地区に属する部分の宅地と合わせて判断するため、間口狭小補正及び奥行長大補正は行わないこととなります。
なお、財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価
次の図のように、地区の異なる2の路線に接する宅地の価額は、高度商業地区、普通商業・併用住宅地区のいずれの地区の奥行価格補正率を適用して評価するのでしょうか。
【回答】
正面路線の地区である高度商業地区の奥行価格補正率を適用して評価します。
また、側方路線影響加算額についても正面路線の地区、すなわち高度商業地区の奥行価格補正率及び側方路線影響加算率を適用して計算します。
なお、借地権の価額を評価する場合において、接する各路線の借地権割合が異なるときには、原則として、正面路線の借地権割合を適用して評価します。したがって、図の場合の借地権割合は80%となります。
側方路線に宅地の一部が接している場合の評価
次の図のように、評価する宅地の一部分のみが側方路線に接している場合には、その宅地の全体について、側方路線影響加算の計算を行うのでしょうか。
【回答】
図の場合において、側方路線の影響を直接受けているのは、その側方路線に直接面している30メートルに対応する部分であることから、次のとおり、側方路線影響加算額を調整の上、評価します。
評価額
地積 | |||
(837,000円+ | 48,000円)× | 1,200= | 1,062,000,000円 |
なお、評価する宅地が正面路線に部分的に接しない場合には、正面路線に接する距離による調整計算は行いません。
(注) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
二方路線影響加算の方法
次の図のような不整形地の二方路線影響加算はどのような計算をするのでしょうか。
【回答】
上記のように、裏面路線に接する部分がその宅地に係る想定整形地の間口距離より短い場合には、裏面路線に接する部分がその宅地に係る想定整形地の間口距離に占める割合により加算額を調整します。
側方路線影響加算等の計算――特定路線価を設定した場合
次の図のA、B、C及びD土地を評価するために特定路線価が設定された場合に、E及びF土地の評価に当たって、特定路線価に基づく側方路線影響加算を行うべきでしょうか。
【回答】
E及びF土地の価額の評価に当たっては、特定路線価に基づく側方路線影響加算は行いません。
(説明)
相続税や贈与税の申告のために路線価地域において路線価の設定されていない道路のみに接している土地を評価する必要があるときには、納税義務者からの申出等に基づき特定路線価を設定することができることとしています(評基通14-3)。
事例の場合において特定路線価は、A、B、C及びD土地の価額の評価に用いるものですから、E及びF土地の価額の評価に当たっては、この特定路線価に基づく側方路線影響加算は行いません。
また、次の図のような場合も同様に、J土地の価額の評価に当たっては、G、H及びI土地の価額を評価するために設定した特定路線価に基づく二方路線影響加算は行いません。
なお、特定路線価に基づいて評価する場合においても、財産評価基本通達15(奥行価格補正)から20-7(容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価)までの定め(同通達16(側方路線影響加算)から18(三方又は四方路線影響加算)までの定めを除きます。)により評価します。
2の路線に接する宅地の評価
次の図のように2の路線に接する宅地Bの価額を評価する場合にも、角地に該当するものとして側方路線影響加算率を適用して評価するのでしょうか。
【回答】
図のAの部分の面積が大きく、現実に角地としての効用を有しない場合には、側方路線影響加算率に代えて二方路線影響加算率を適用して評価します。
図の場合には、具体的には次のように評価します。
1 A、Bを合わせた全体の整形地の奥行価格補正後の価額からA部分の奥行価格補正後の価額を差し引き、宅地Bの奥行価格補正後の1当たりの価額を算出します。
2 宅地Bの奥行価格補正後の1当たりの価額に、側方路線影響加算(この場合は二方路線影響加算率を適用)及び不整形地補正を行い評価額を算出します。
(注)
1 側方路線影響加算額は次の計算方法により算出しても差し支えありません。
2 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
三方又は四方が路線に接する宅地の評価
次の図のように正面と側方と裏面の三つの路線又は四つの路線に接する宅地の価額はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
三方又は四方が路線に接する宅地の価額は、正面と側方が路線に接する宅地の評価方法と正面と裏面が路線に接する宅地の評価方法を併用して計算した価額に地積を乗じた金額によって評価します。
(1) 三方が路線に接する宅地の価額
(2) 四方が路線に接する宅地の価額
(注) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
側方路線影響加算又は二方路線影響加算の方法――三方路線に面する場合
次の図のように、現実に角地としての効用を有しない場合で、三方路線に面しているB宅地の価額を評価する場合の側方路線影響加算又は二方路線影響加算はどのように計算するのでしょうか。
【回答】
側方路線に接する場合であっても現実に角地としての効用を有しない場合には、側方路線影響加算率に代えて二方路線影響加算率を適用します。
これは、側方路線に接することの影響を加算するものですが、角地としての効用を有しないことから加算率の値としては側方路線影響加算率ではなく二方路線影響加算率を使用するという趣旨です。
したがって、この場合の側方路線影響加算及び二方路線影響加算は次のとおりになります。
(注1) 奥行距離は、面積(600)を間口距離(25m)で除して求めています。
(注2) 側方路線影響加算額は次の計算方法により算出しても差し支えありません。
※ A土地の奥行距離10mにかかる奥行価格補正率は0.99ですが、0.99とするとAとBを合わせた整形地の奥行価格補正後の単価より、側方路線に接する部分が欠落している不整形地Bの奥行価格補正後の単価が高くなり不合理なので、このように前面宅地の奥行が短いため奥行価格補正率が1.00未満となる場合においては、奥行価格補正率を1.00とします。
ただし、AとBを合わせて評価する場合において奥行距離が短いため奥行価格補正率が1.00未満の数値となる場合には、Aの奥行価格補正率もその数値とします。
(注3) 二方路線影響加算額は、次の計算方法により算出しても差し支えありません。
(注4) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
多数の路線に接する宅地の評価
次の図のように多数の路線に接する宅地の価額はどのように評価するのでしょうか。
多数の路線に接する宅地の価額は、各路線が正面路線に対し側方路線としての効用を果たすのか、裏面路線としての効用を果たすのかを個々に検討し、それぞれの路線価にその適用すべき側方路線影響加算率又は二方路線影響加算率を乗じた金額を基に評価します。
また、図のように裏面路線等に2以上の路線価が付されている場合には、a及びbの路線価を宅地が接する距離により加重平均した価額を基に二方路線影響加算等を行います。
路線価の高い路線の影響を受ける度合いが著しく少ない場合の評価
次の図のように路線価の高い方の路線の影響を受ける度合いが著しく少ない場合であっても、その路線価の高い路線を正面路線として評価しなければならないのでしょうか。
【回答】
正面路線とは、原則として、路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の最も高い路線をいうこととされています。
しかし、図のように間口が狭小で接道義務を満たさないなど正面路線の影響を受ける度合いが著しく低い立地条件にある宅地については、その宅地が影響を受ける度合いが最も高いと認められる路線を正面路線として差し支えありません。
なお、上記のような帯状部分を有する土地は、帯状部分(乙)とその他の部分(甲)に分けて評価した価額の合計額により評価し、不整形地としての評価は行いません。
間口距離の求め方
次の図のような形状の宅地の間口距離はいずれによるのでしょうか。
【回答】
間口距離は、原則として道路と接する部分の距離によります。したがって、Aの場合はa、Bの場合はa+cによります。Cの場合はbによりますが、aによっても差し支えありません。
また、Aの場合で私道部分を評価する際には、角切で広がった部分は間口距離に含めません。
間口が狭い宅地の評価
次の図のように路線に接する間口が狭い宅地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
路線価に奥行価格補正率及び間口狭小補正率を乗じ、更に奥行が長大な宅地については、奥行長大補正率を乗じた価額によって評価します。
なお、間口が狭小な宅地とは、次の表に掲げる間口距離を有する宅地をいい、奥行が長大な宅地とは奥行距離を間口距離で除して得た数値が次の表に掲げるものをいいます。
屈折路に面する宅地の間口距離の求め方
宅地が屈折路に面している場合の間口距離はどのようにして求めるのでしょうか。
【回答】
屈折路に面する不整形地の間口距離は、その不整形地に係る想定整形地の間口に相当する距離と、屈折路に実際に面している距離とのいずれか短い距離となります。
このことから、Aの場合にはa(<「b+c」)が、Bの場合には「b+c」(<a)がそれぞれ間口距離となります。
なお、屈折路に面する不整形地に係る想定整形地は、いずれかの路線からの垂線によって又は路線に接する両端を結ぶ直線によって、評価しようとする宅地の全域を囲むく形又は正方形のうち最も面積の小さいものとします。
不整形地の評価
側方路線影響加算の計算例
次の図のような不整形地の評価額は、具体的にはどのようにして計算するのでしょうか。
[普通住宅地区]
(路線価は千円単位) |
【回答】
不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基とし、側方路線影響加算、不整形地補正を行い評価します。
(計算例)
(1) 正面路線に対応する奥行距離………49.3m
(2) 側方路線影響加算を行う場合の奥行距離………43.2m
(3) 側方路線影響加算額の計算
(4) 側方路線影響加算後の価額
(5) に地積を乗じた後不整形地補正を行い評価額を算出します。
(注) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
不整形地の奥行距離の求め方
次の図のような不整形地の奥行距離はどのようにして求めるのでしょうか。
【回答】
奥行距離が一様でないものは平均的な奥行距離によります。具体的には、不整形地にかかる想定整形地の奥行距離を限度として、その不整形地の面積をその間口距離で除して得た数値とします。
上の図のような不整形地にかかる想定整形地は次のとおりとなります。したがって、この不整形地の奥行距離は17.1m(600÷35m=17.1<20)となります。
一般に不整形地について、その奥行距離を図示すれば次のようになります。
屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方
屈折路に面する不整形地の場合、想定整形地はどのようにとるのでしょうか。
【回答】
屈折路に面する不整形地に係る想定整形地は、いずれかの路線からの垂線によって又は路線に接する両端を結ぶ直線によって、評価しようとする宅地の全域を囲むく形又は正方形のうち最も面積の小さいものを想定整形地とします。
次の場合には、AからCまでのく形のうち最も面積の小さいもの、すなわちAが想定整形地となります。
区分した整形地を基として評価する場合
次の図のような不整形地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
不整形地を区分して求めた整形地を基として計算した価額の合計額に、不整形地補正率を乗じて評価します。
(計算例)
1 不整形地を整形地に区分して個々に奥行価格補正を行った価額の合計額
2 不整形地補正率
不整形地補正率 0.94(普通住宅地区 地積区分A かげ地割合20%)
3 評価額
計算上の奥行距離を基として評価する場合
次の図のような不整形地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地としての価額に、不整形地補正率を乗じて評価します。
近似整形地を基として評価する場合
次の図のような不整形地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
不整形地に近似する整形地を求め、その近似整形地を基として求めた価額に不整形地補正率を乗じて評価します。
(注意事項)
1 近似整形地は、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求めます。
2 近似整形地の屈折角は90度とします。
3 近似整形地と想定整形地の地積は必ずしも同一ではありません。
(計算例)
1 近似整形地の奥行価格補正後の1平方メートル当たりの価額(不整形地の奥行価格補正後の1平方メートル当たりの価額)
2 不整形地補正率
3 評価額
(注) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。
差引き計算により評価する場合
次の図のような不整形地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
近似整形地()を求め、隣接する整形地()と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから隣接する整形地()の価額を差し引いた価額を基として計算した価額に、不整形地補正率を乗じて評価します。
(計算例)
1 近似整形地()と隣接する整形地()を合わせた全体の整形地の奥行価格補正後の価額
2 隣接する整形地()の奥行価格補正後の価額
3 1の価額から2の価額を控除して求めた近似整形地()の奥行価格補正後の価額
4 近似整形地の奥行価格補正後の1平方メートル当たりの価額(不整形地の奥行価格補正後の1平方メートル当たりの価額)
5 不整形地補正率
6 評価額
(注意事項)
- 1 近似整形地を設定する場合、その屈折角は90度とします。
- 2 想定整形地の地積は、近似整形地の地積と隣接する整形地の地積との合計と必ずしも一致しません。
- 3 全体の整形地の価額から差し引く隣接する整形地の価額の計算に当たって、奥行距離が短いため奥行価格補正率が1.00未満となる場合においては、当該奥行価格補正率は1.00とします。
ただし、全体の整形地の奥行距離が短いため奥行価格補正率が1.00未満の数値となる場合には、隣接する整形地の奥行価格補正率もその数値とします。
不整形地としての評価を行わない場合(1)
次の図のような帯状部分を有する宅地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
帯状部分(乙)とその他部分(甲)に分けて評価した価額の合計額により評価し、不整形地としての評価は行いません。
(計算例)
1 甲土地の評価額
2 乙土地の評価額
3 評価額
(参考)
評価対象地を不整形地として評価するとした場合
このように、帯状部分を有する土地について、形式的に不整形地補正を行うとかげ地割合が過大となり、帯状部分以外の部分を単独で評価した価額(20,000千円)より低い不合理な評価額となるため、不整形地としての評価は行いません。
不整形地としての評価を行わない場合(2)
次の図のような帯状部分を有する宅地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
帯状部分(乙)とその他部分(甲・丙)に分けて評価した価額の合計額により評価し、不整形地としての評価は行いません。
(計算例)
1 甲、丙土地を合わせて評価した価額
2 乙土地の評価額
(1) 乙、丙土地を合わせた土地の奥行価格補正後の価額
(2) 丙土地の奥行価格補正後の価額
(3) (1)の価額から(2)の価額を差し引いて求めた乙土地の奥行価格補正後の価額
(4) 乙土地の評価額
3 評価額
(参考)
評価対象地を不整形地として評価するとした場合
1 甲地の奥行価格補正後の価額
2 乙・丙地の奥行価格補正後の価額
3 不整形地補正率
4 評価額
このように、帯状部分を有する土地について、形式的に不整形地補正を行うとかげ地割合が過大となり、帯状部分以外の部分を単独で評価した価額(40,000千円)より低い不合理な評価額となるため、不整形地としての評価は行いません。
がけ地等を有する宅地の評価
がけ地等を有する宅地とは、平たん部分とがけ地部分等が一体となっている宅地であり、例えば、ヒナ段式に造成された住宅団地に見られるような、擁壁部分(人工擁壁と自然擁壁とを問いません。)を有する宅地です。
このような宅地のがけ部分等は、採光、通風等による平たん宅地部分への効用増に寄与すると認められるものの通常の用途に供することができないため、全体を通常の用途に供することができる宅地に比し減価があると認められますので、がけ地補正率表によるがけ地補正を行うものです。
このように、がけ地補正率が適用されるがけ地等を有する宅地とは、平たん部分とがけ地部分等が一体となっている宅地をいい、平たん部分である宅地とそれ以外の部分(山林、雑種地等)を別の評価単位として評価すべき場合はこれに該当しません。
がけ地等を有する宅地の評価
がけ地等を有する宅地については、どのように評価するのでしょうか。
【回答】
がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地(財産評価基本通達20-6(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)の定めにより評価するものを除きます。)の価額は、その宅地のうちに存するがけ地等の部分ががけ地等でないとした場合の価額に、がけ地補正率を乗じて計算した価額によって評価します。
評価額
(注) がけ地の方位は斜面の向きによります。
南東を向いている場合
次の図のように南東を向いているがけ地部分を有する宅地のがけ地補正率はどのようにして求めるのでしょうか。
【回答】
「がけ地補正率表」に定められた方位の中間を向いているがけ地は、それぞれの方位のがけ地補正率を平均して求めます。
なお、「北北西」のような場合には、「北」のみの方位によることとしても差し支えありません。
2方向にがけ地部分を有する場合
次の図のように2方向にがけ地部分を有する宅地のがけ地補正率はどのようにして求めるのでしょうか。
【回答】
2方向以上にがけ地を有する宅地のがけ地補正率は、評価対象地の総地積に対するがけ地部分の全地積の割合に応ずる各方位別のがけ地補正率を求め、それぞれのがけ地補正率を方位別のがけ地の地積で加重平均して求めます。
(計算例)
1 総地積に対するがけ地部分の割合
2 方位別のがけ地補正率
がけ地割合0.50の場合の西方位のがけ地補正率 0.78
がけ地割合0.50の場合の南方位のがけ地補正率 0.82
3 加重平均によるがけ地補正率
特殊な道路の評価
無道路地の評価
次の図のような無道路地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
次のとおり評価します。
1 無道路地()の奥行価格補正後の価額
(1) 無道路地()と前面宅地()を合わせた土地の奥行価格補正後の価額
(2) 前面宅地()の奥行価格補正後の価額
(3) (1)の価額から(2)の価額を控除して求めた無道路地()の奥行価格補正後の価額
2 不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正)
間口狭小補正率0.90(間口距離2m)
奥行長大補正率0.90(間口距離2m・奥行距離40m)
3 通路部分の価額
4 評価額
接道義務を満たしていない宅地の評価
次の図のように間口距離が短く接道義務を満たしていない宅地はどのように評価するのでしょうか。
【回答】
通路部分を拡幅しなければ、建物の建築に対して著しい制限のある宅地なので、無道路地に準じた評価を行います。
なお、無道路地として評価する際に控除する通路に相当する部分の価額は、通路拡幅のための費用相当額(正面路線価に通路拡幅地積を乗じた価額)とします。
(計算例)
1 評価対象地()の奥行価格補正後の価額
(1) 評価対象地()と前面宅地()を合わせた土地の奥行価格補正後の価額
(2) 前面宅地()の奥行価格補正後の価額
(注) 奥行距離が5mの場合の奥行価格補正率は「0.92」ですが、「0.92」とすると前記(1)の評価対象地()と前面宅地()を合わせた整形地の奥行価格補正後の単価より、道路に接する部分が欠落している不整形地の奥行価格補正後の単価が高くなり不合理なので、このように前面宅地の奥行距離が短いため奥行価格補正率が1.00未満となる場合においては、当該奥行価格補正率は1.00とします。
ただし、前記(1)の評価対象地()と前面宅地()を合わせて評価する場合において奥行距離が短いため奥行価格補正率が1.00未満の数値となる場合には、前面宅地の奥行価格補正率もその数値とします。
(3) (1)の価額から(2)の価額を控除して求めた評価対象地()の奥行価格補正後の価額
2 不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正)後の価額
間口狭小補正率0.90(通路拡幅後の間口距離2mに対するもの)
奥行長大補正率0.90(通路拡幅後の間口距離2m・奥行距離25mに対するもの)
3 通路拡幅部分の価額
4 評価額
私道の用に供されている宅地の評価
(1) 倍率地域にある私道の用に供されている宅地はどのように評価するのでしょうか。
(2) 専用利用している路地状敷地についてはどのように評価するのでしょうか。
【回答】
特定の者の通行の用に供されている宅地(私道)の価額は、その宅地が私道でないものとして評価した価額の30%相当額で評価します。
この場合、私道の固定資産税評価額が私道であることを考慮して付されている場合には、その宅地が私道でないものとした場合の固定資産税評価額に倍率を乗じて評価した価額の30%相当額で評価します。
なお、その私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しません。
次の図のAの部分のように、宅地Bへの通路として専用利用している路地状敷地については、私道として評価することはせず、隣接する宅地Bとともに1画地の宅地として評価します。
不特定多数の者の通行の用に供されている私道
1 私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しないこととなっていますが、具体的にはどのようなものをいうのでしょうか。
2 幅員2メートル程度で通り抜けのできる私道は財産評価基本通達24に定める不特定多数の者の通行の用に供されている私道に該当しますか。
【回答】
1 「不特定多数の者の通行の用に供されている」例を具体的に挙げると、次のようなものがあります。
イ 公道から公道へ通り抜けできる私道
ロ 行き止まりの私道であるが、その私道を通行して不特定多数の者が地域等の集会所、地域センター及び公園などの公共施設や商店街等に出入りしている場合などにおけるその私道
ハ 私道の一部に公共バスの転回場や停留所が設けられており、不特定多数の者が利用している場合などのその私道
2 不特定多数の者の通行の用に供されている私道とは、上記のようにある程度の公共性が認められるものであることが必要ですが、道路の幅員の大小によって区別するものではありません。
歩道状空地の用に供されている宅地の評価
都市計画法所定の開発行為の許可を受けるため、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって設置された、次のような「歩道状空地」の用に供されている宅地については、どのように評価するのでしょうか。
なお、この「歩道状空地」はインターロッキング舗装が施されたもので、居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されています。
【回答】
「歩道状空地」の用に供されている宅地が、法令上の制約の有無のみならず、その宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、客観的交換価値に低下が認められる場合には、その宅地を財産評価基本通達24に基づき評価します。
具体的には、
都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、
道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであり、
居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されている上図の「歩道状空地」は、財産評価基本通達24に基づき評価することとなります。
上図の「歩道状空地」が、不特定多数の者の通行の用に供されている場合には、その価額は評価しません。
まとめ
土地の評価額を求めるには、現状の土地の状態をよく知ることです。
土地の状態を知ることにより、地目が何か?区画をどの様に見ればよいかが分かります。
また、路線価を求める場合には、道路との接面や歪が無いかが非常に重要です。
更に、環境的な問題もありますので、悩んだら専門家に相談するのが良いと思います。
以下の記事で紹介しているサイトでは、税理士への無料相談が可能なので、一度試してみてはいかがでしょうか?
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