「財産目録」の雛形!記載内容と作成時期、必要となるタイミングを解説

財産目録・評価
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家族がお亡くなりになった場合には、故人の財産を全て洗い出しする必要があります。

家族がお亡くなりになったばかりで悲しい時期ではありますが、遺産相続手続きは期限が決まっており、やることも多く、家族全員での遺産分割協議等も行わないといけないので早急に進める必要があります。

始めにやらなければいけないことは、故人の資産を全て洗い出し、「財産目録」を作成することです。

 

今回は、「財産目録」の雛形のご紹介と作成時期についてお伝えします。

 

 

 

 

「財産目録」の作成時期と記載内容

相続税の申告手続きについては、故人が亡くなってから10が月以内ですが、故人が大きな借金を抱えていた場合など負の遺産がある場合には、遺産放棄を検討する必要があります。

遺産放棄の申請は、故人が亡くなってから3ヶ月以内なので、余り時間がありません。

お通夜、葬式、初七日、四十九日とやることが大変多い時期で、悲しみも癒えない時期ではありますが、故人の財産の調査も行っていかなければなりません。

故人の資産については、全て洗い出し、「財産目録」を作成することにより、

  • 遺産として何があるのか?
  • どのくらいの資産なのか?
  • いつまでに何をすれば良いか?

などが明確になります。

資産の洗い出しを怠ると、後から高額の追徴税を加算されたり、遺産分割協議にて揉めることになってしまいます。

一刻も早く、「財産目録」を作成して、故人の資産総額を特定する様にしましょう。

 

財産目録とは、被相続人の財産の内容がわかるよう一覧にしたものです。現預金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産についても記載することとなっています。

財産目録には、現金、預金、有価証券、不動産、株券などの他、故人が支払っていた生命保険、損害保険、年金、更には、宝石や貴金属、自動車、時計、骨董品、絵画、ゴルフ会員権、著作権、特許権等も記載します。

財産目録には、相続財産の名称だけでなく、種類、数量、所在、価額など特定できるような情報を書き出します。すべての財産を洗い出し、細かく記載することで、相続財産の内容を把握できるのです。

現金や預金など価格のすぐ解るものは良いのですが、不動産や骨董品、ゴルフ会員権など直ぐに価額がわからないものありますので、本記事では、その様な財産の価額をどの様に決定したら良いかについてもご説明させて頂いていますので、是非とも最後までお読み下さい。

 

財産目録が必要となるタイミングは以下の通りです。

  • 故人が生きている内に遺族に財産を残したいと思い遺言書を作成するタイミング
  • 親族にて遺産分割の協議をするタイミング
  • 相続税の申告時や相続放棄を届け出るタイミング

この中で、被相続人が死亡してから一番早く必要となるタイミングは、相続放棄をするときです。

相続放棄は、被相続人が死亡してから3ヶ月以内に届け出なければなりません。もし、以降の調査により負の遺産(借金等)が発覚した場合でも、その遺産を相続しなければならなくなってしまいます。

なお、「財産目録」の作成は、義務ではありません。相続人全員が納得できれば作成する必要はありませんが、相続において、後々シコりを残さない様にするためにも、「財産目録」を作成しておく事をおすすめします。

 

相続放棄は3か月以内に申し立てる

遺産は、不動産や金融資産等のプラスの財産ばかりとは限りません。遺産相続により、相続人はローンや債務等のマイナスの財産も受け継ぐことになります。マイナスの財産が大きい場合には相続人は相続を放棄することもでき、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄」を申し立てます。

 

限定承認

相続財産がどのくらいあるのか把握できない場合や負債は受け継ぎたくないという場合には「限定承認」を選ぶことが可能です。限定承認ではマイナスの財産をプラスの財産で返済し、財産が余った場合には相続できます。マイナスの財産がプラスを上回る場合には返済の必要はありません。相続放棄と同様に相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをします。

 

所得税の準確定申告

被相続人が自営業や個人事業主だった場合には、相続開始から4か月以内に所得税の準確定申告を行わなければなりません。この準確定申告では相続人全員が納税者となり、その年の1月1日から死亡日までの納税分について1通の準確定申告書を作成し、相続人全員が連署した上で提出することになります。

この様な、準確定申告の際にも、「財産目録」は役に立ちます。

 

相続の申告と相続税納付の期限は相続開始後10か月以内

申告書は被相続人の亡くなった日の翌日から10か月以内に提出しますが、死亡を知らなかった場合には知った日の翌日から10か月以内となります。納付期限も申告と同様、相続の開始を知った翌日から10か月以内です。

 

財産目録には、特に決まった書式はありません

名称だけでなく、種類、数量、所在、価額等を記載するようにして下さい。

ただし、「遺産分割協議をスムーズにする」「相続税の申告の負担を軽くする」といった目的から、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 価額はいつの時点で何を基準とした評価額かを明確にする
  • 特記事項も書いておく

始めから全てを記載しようと思わないで、解る内容から記載していくことが重要です。

特に、土地の価格や自社株式の価格などは、簡単に計算できるものではありませんし、貴金属や宝石、骨董品等については専門家に鑑定してもらう必要があります。

ましてや、著作権や特許権等の無形財産に当たっては、判定方法も複雑になりますので、税理士等に相談する必要があります。

まずは、どの様なものが存在するのかの名称を洗い出す様にしましょう。

 

 

 

シンプルな書式の雛形

簡易的な財産目録であれば、以下のようなシンプルな書式で十分です。

 

詳細な書式の雛形

一方、「財産の種類が多い」「特定が難しい」「借金もある」といった状況であれば、次のような詳細な書式でつくったほうがよいでしょう。

 

 

 

「財産目録」に記載する財産の調査

「財産目録」に記載する具体的な内容は、相続税の課税対象となる財産全てです。

相続税の課税対象となる財産とは、簡単に説明すると「相続税の課税非対象でない財産すべて」となります。

財産としては、以下の様な内容となります。

プラスの財産 マイナスの財産
金融資産 現金・預貯金・有価証券・公社債など 銀行や消費者金融からの借入金、クレジットカードの残債、住宅ローン、未払いの税金、医療費など
不動産(土地) 宅地・農地・山林・原野・牧場・借地権・地上権・貸借権など
不動産(家屋) 家屋・倉庫・駐車場・借家権・マンション・アパートなどの物件
動産 家具・貴金属・宝石・書画骨とう品・自動車など
各種権利 著作権・特許権・商標権・電話加入権・ゴルフ会員権など
事業用財産 機械・備品・商品・原材料・農産物・牛馬・売掛金など

なお、各財産の具体的な内容については、以下の記事を参考にして下さい。

 

 

 

「財産目録」に記載する評価金額

「財産目録」には、その資産がいくらの価値があるのかを、調査や計算により求める必要があります。この資産毎の価値を「評価金額」といいます。

現金や預金などであれば、「評価金額」は数えるだけで直ぐに調べることが可能です。

しかしながら、不動産や株、骨董品や著作権などについては、各々、国税庁が決めた方式により「評価金額」を洗い出す必要があります。

例えば、不動産などでは、100㎡の土地を相続した場合に、インターネット等で同等の地域、場所の価格を調べたりしますが、これは、「評価金額」にはなりません。

土地の相続税評価金額は、路線価、又は、固定資産税から計算により求めなければなりません。

具体的な計算方法については、以下の記事で詳しく説明しています。

 

 

 

最後に

「財産目録」の内容や金額が全て埋まったら、この情報を元に、相続税の計算や、遺産分割協議を行うこととなる訳です。

「財産目録」を作成して一段落だと思うかも知れませんが、相続においては、実はここからが重要な局面を迎えることになるのです。

相続人同士の争いや、節税対策を考えながら匠な調整が要求されることとないります。

これらのことは、仲が良い親子や兄弟姉妹でも争いになりますので、弁護士や税理士等の中間に入って仕切って貰える方の力を借りるのが正解です。

以下の記事では、無料で相談可能な税理士さん達を紹介していますので是非参考にしてください。

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