固定資産税、減価償却、都市計画税の評価額計算方法減税措置も説明!

税務の基礎知識
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土地や家屋などの不動産を所有していると、固定資産税が発生します。

固定資産税とは所有する固定資産に対して課せられる税金です。

固定資産税とは、地方自治体に納税する地方税の1つを指し、不動産を所有している限り、毎年納めなければなりません。

毎年6月になると、税務署から納税通知書が届き、書面で固定資産税の金額を確認できます。

 

今回は、固定資産税をどの様に求めたら良いかについてご説明します。

 

 

 

固定資産税の求め方

固定資産税額を求めるには、まず固定資産の評価額を確認する必要があります。

固定資産の評価額とは、土地や家屋などの不動産の価値を評価し、計算した価額です。

これは各市町村によって定められており、役所にある固定資産課税台帳または納税通知書に添付されている課税証明書から確認することができます。

評価額は、総務省が定めた土地や家屋を評価する指標である「固定資産評価基準」によって決まります。この基準のもとで決められた、土地と家屋の固定資産の評価額は3年に1度更新されます。

固定資産税額を自分で計算する際は、固定資産の評価額と固定資産税の課税標準額を混同しないように注意しなければなりません。

なお、固定資産税の課税対象となる資産は大きく分けて「土地・家屋」と「償却資産」の2種類があります。

 

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際に基準としている価格のことで、市町村(東京23区の場合は東京都)が決定、公表しています。

この評価額は、都市計画税や不動産取得税、登録免許税などを算出する際の基準にもなっています。

3年に1度評価替えが行われます。令和6年は、固定資産税評価額の評価替えの年です。

 

固定資産税額の計算方法

固定資産税は、一般的に以下の式を用いて計算されます。

固定資産税※1固定資産の評価額(課税標準額)※2×1.4%(標準税率)

※1:100円未満切り捨て
※2:1,000円未満切り捨て
また課税標準額の合計が土地は30万円未満、家屋は20万円未満なら固定資産税は課税されません。

ここで不明なのは、固定資産の評価額(課税標準額)です。

固定資産の評価額とは、一般的に「固定資産税評価額」とも呼ばれ、税額を計算する際に基礎となる課税対象を表します。

また、固定資産税を算出するうえで用いる課税標準額は「固定資産税課税標準額」といい、標準税率をかけることで固定資産税額を求めることができます。

通常、固定資産の評価額と固定資産税の課税標準額は同じ金額になります。

しかし、減税措置が適用される場合には、固定資産税の課税標準額に軽減税率がかけられるため、固定資産の評価額よりも少なくなります。

以下で、「固定資産税評価額」の調べ方を説明します。

また、土地や家屋に課税される固定資産税と、償却資産に課税される償却資産では課税標準の計算方法や免税点が異なりますので、それぞれの計算方法は次章以降で説明します。

都市計画税

都市計画税は毎年1月1日時点の都市計画区域内にある土地・建物などの所有者に対し、市区町村が課税します。固定資産税と一括して納税します。

税率は最高限度0.3%以内の範囲で課税されます。

税額=課税標準 × 最高0.3%(制限税率)

 

 

 

計算以外での固定資産税評価額の調べ方

計算で固定資産税評価額を算出するのは大変です。簡単に固定資産税評価額を調べる3つの方法をご紹介します。

4月頃に送られてくる固定資産税の課税明細書を確認する

毎年4月頃になると市町村(東京23区は東京都)から固定資産税の納税通知書が送られてきますが、それと一緒に送られてくる課税明細書の「価格」もしくは「評価額」という欄に記載されています

また、各市町村のホームページで納税通知書などの見方を掲載しているところもあります。

 

固定資産評価証明書を入手する

「固定資産税評価証明書」は、所有する土地や家屋を管轄する各市町村の役所や都税事務所などで入手できます

入手できる人は、土地や家屋の所有者と同居の家族、相続人、借地人、借家人、代理人などです。また、この書類は、相続や贈与、売買などで登記を行う際に必要となります。

 

固定資産課税台帳の縦覧、閲覧を利用する

各市町村では、所有する土地や家屋の所在地、所有者、評価額などが記載された固定資産課税台帳を閲覧することができます。

また、毎年4月頃の一定期間に限り、自分が所有する土地や家屋と、他の方の土地や家屋とを比較できる縦覧制度もあります。

縦覧は無料ですが、縦覧期間以外の閲覧には手数料がかかります。

 

 

 

 

固定資産税評価額(土地・家屋)

固定資産の評価額を確認したら、土地と建物それぞれで固定資産税がかかるため、まずは土地の固定資産税額を求めましょう。

 

土地の固定資産税を求める

土地の固定資産税額は以下の計算式で求められます。

土地の固定資産税評価額(課税標準額) = 土地の面積×路線価

固定資産税額=土地の固定資産の評価額(課税標準額) × 1.4%(標準税率)

なお、土地の固定資産評価額は、国が算定する時価公示価格(時価)の70%ほどが金額の目安となります。

路線価の求め方は、以下の記事で紹介しています。

 

建物の固定資産税額を求める

建物の固定資産税額を求める計算式は以下の通りです。

家屋の評価額(課税標準額)=評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率
※家屋の評価額は、課税台帳に登録されている価格を調べる方法もあります。

固定資産税額= 家屋の評価額(課税標準額) × 1.4%(標準税率)

 

2つを合計する

上記で求めた土地と建物、それぞれの固定資産税額を合わせたものが住居の固定資産税の納税額になります。固定資産税の計算は、評価額と課税標準額の違いが複雑なため、それぞれの違いを把握して正しく計算しましょう。

 

 

 

固定資産税の減額措置

住宅用の土地・家屋については固定資産税について以下のような特例・減税措置があります。

 

住宅用地の特例

住宅やアパートなど人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)には特例措置が設けられており、固定資産税が軽減されます。

この軽減措置は、土地が宅地であれば適用可能です。逆に、建物が住宅として使われなくなったり、更地になったりした場合は適用外となるため、注意しましょう。

固定資産が発生した1月1日時点で該当する土地の課税標準額が減額されることにより、固定資産税および都市計画税が軽減されます。

特例措置の内容は以下のとおりです。

固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地
(住宅用地で200㎡以下の部分)
評価額の6分の1 評価額の3分の1
一般住宅用地
(住宅用地で200㎡超の部分)
評価額の3分の1 評価額の3分の2

 

新築住宅の減額措置

住宅を新築した場合も、軽減措置を受けられます。対象となるのは、2024年(令和6年)3月31日までに新築された物件です。新築住宅を購入した後の一定期間、固定資産税が2分の1に軽減されます。

居住部分の割合

床面積
3階建以上の中高層耐火・準耐火住宅(マンション等) 一般の住宅
減額期間 認定長期優良住宅以外 5年間 3年間
認定長期優良住宅 7年間 5年間
居住部分の床面積が家屋1棟全体の2分の1以上

居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下
認定長期優良住宅の減額の適用を受ける場合は、新築した翌年の1月31日までに申告書の提出が必要です。

建て替えや改修した住宅に対する軽減措置

減税対象となる建て替えやリフォームを行った場合、翌年度の固定資産税が軽減されます。対象となるのは、2024年(令和6年)3月31日までに改修が行われた住宅です。対象となる建て替えやリフォームとしては、以下の項目が挙げられます。

それぞれのリフォームの基本的な軽減額は、以下の通りです。

リフォーム内容 軽減額
耐震リフォーム 1/2
バリアフリーリフォーム 1/3
省エネリフォーム 1/3
長期優良住宅リフォーム 2/3

なお、軽減措置を受ける場合は、新築なら住宅を建てた翌年の1月31日まで、リフォームなら工事終了後3か月以内に住宅の所在地を管轄する市区町村へ「固定資産税減額申告書」と、「長期優良住宅の認定通知書」の写しを提出して申告しましょう。

 

マンション長寿命化促進税制

2023年度の税制改正には新しく「マンション長寿命化促進税制」が盛り込まれています。

マンションが一定の長寿命化工事を実施した場合に、工事翌年の固定資産税を1/6~1/2の範囲で減額するという特例措置です。この制度は、市町村ごとに定められます。

  • 本特例措置の対象は築20年以上経過している10戸以上のマンションです。
  • 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していて、必要な修繕積立金を確保しているマンションが対象になります。
  • 適用期間については、2023年4月1日から2025年3月31日までの間に完了した工事が対象です。

固定資産税評価額(償却資産)

減価償却とは、不動産や車など固定資産の購入金額を購入年に一括計上するのではなく、長期にわたり分割して計上する所得税法や法人税法に定められた経費計上方法です

使用可能期間が1年以上、取得価額が10万円以上の固定資産のうち、経年によって価値が減少していくものが対象で、経費計上をする際に原則として必ず減価償却しなければいけません。

ただし、国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を利用する場合を除きます。

このような資産を「減価償却資産」、減価償却を行う際に使用する勘定科目を「減価償却費」と呼びます。

減価償却費とは、簡単にいえば建物の経年劣化によって下がった建物の価値を表す費用で、土地には適用されません。建物の減価償却費を算出するには、定額法という方法で以下の通りに計算します。以下にある償却率とは、耐用年数に応じて定められた割合のことです。

減価償却には、毎年一定額を減価償却費として計上する「定額法」と、初年度が大きくその後は一定の償却率を掛ける「定率法」があります。

建物の償却法は定額法で計算することが、税制上で定められています。

 

 

 

固定資産税(償却資産)の計算方法

償却資産にかかる固定資産税は評価額(課税標準額)に税率を掛けて計算します。償却資産の評価額は申告対象の資産1品ごとに、申告する年の1月1日時点の金額を算出します。

前年中に取得した資産と前年より前に取得した資産では、以下のとおり評価方法が異なります。

■前年中に取得した資産の評価額

取得価格 ×(1 - 耐用年数に応ずる減価率 ÷ 2 )
※取得月にかかわらず半年分を償却

■前年前に取得した資産

前年度評価額 ×(1-耐用年数に応ずる減価率)

耐用年数に応ずる減価率は各市町村のホームページなどに掲載されている減価残存率表で確認できます。

固定資産税額(※1) =評価額(課税標準額)(※2) × 標準税率1.4%

※1:100円未満切り捨て
※2:1,000円未満切り捨て

※算出した評価額が取得価額の5%を下回る場合は、取得価額の5%の額が評価額となります。
また償却資産の課税標準額の合計が150万円未満であれば固定資産税は課税されません。ただし申告は必要です。

 

減価償却費の計算方法

減価償却費=取得価額×償却率

■耐用年数の一部を経過している場合

新築時の法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%

※経過年数の1年未満は、6か月以上は1年、6か月未満は切り捨てます。

■すでに耐用年数を経過している場合

新築時の法定耐用年数×20%

耐用年数は建物の構造によって違います。例えば、鉄筋コンクリート造の中古マンションで築10年経過している場合の耐用年数は次のとおりです。

建築構造 事業用 非事業用
耐用年数[年] 償却率 耐用年数[年] 償却率
木造 22 0.046 33 0.031
木造モルタル 20 0.050 30 0.034
鉄骨造 軽量鉄骨プレハブ造
(骨格材肉厚3mm以下)
19 0.053 28 0.036
軽量鉄骨プレハブ造
(骨格材肉厚3mm超
4mm以下)
27 0.038 40 0.025
重量鉄骨造
(骨格材肉厚4mm超)
34 0.030 51 0.020
鉄筋コンクリート造 47 0.022 70 0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造 47 0.022 70 0.015

※償却率については、国税庁のホームページに掲載されています。
※自分で住む場合の非業務用の耐用年数は、賃貸するなどの業務用の耐用年数の1.5倍となります。

減価償却資産の償却率表

償却率
耐用年数 定額法 定率法
2 0.500 1.000
3 0.334 0.667
4 0.250 0.500
5 0.200 0.400
6 0.167 0.333
7 0.143 0.286
8 0.125 0.250
9 0.112 0.222
10 0.100 0.200
11 0.091 0.182
12 0.084 0.167
13 0.077 0.154
14 0.072 0.143
15 0.067 0.133
16 0.063 0.125
17 0.059 0.118
18 0.056 0.111
19 0.053 0.105
20 0.050 0.100
21 0.048 0.095
22 0.046 0.091
23 0.044 0.087
24 0.042 0.083
25 0.040 0.080
26 0.039 0.077
27 0.038 0.074
28 0.036 0.071
29 0.035 0.069
30 0.034 0.067
31 0.033 0.065
32 0.032 0.063
33 0.031 0.061
34 0.030 0.059
35 0.029 0.057
36 0.028 0.056
37 0.028 0.054
38 0.027 0.053
39 0.026 0.051
40 0.025 0.050
41 0.025 0.049
42 0.024 0.048
43 0.024 0.047
44 0.023 0.045
45 0.023 0.044
46 0.022 0.043
47 0.022 0.043
48 0.021 0.042
49 0.021 0.041
50 0.020 0.040

(注)2012年(平成24年)3月31日以前に取得した資産については耐用年数・償却率が異なります。

減価償却資産耐用年数表

構造・用途 細目 耐用年数

建物

鉄骨鉄筋コンクリート造のもの 事務所用のもの 50
住宅用のもの 47
飲食店用のもの 延面積のうちに占める木造内装部分面積が3割を超えるもの 34
その他のもの 41
店舗用のもの 39
車庫用のもの 38
金属造のもの 事務所用のもの 骨格材の肉厚が
4mmを超えるもの
38
骨格材の肉厚が
3mmを超え、4mm以下のもの
30
骨格材の肉厚が
3mm以下のもの
22
店舗用・住宅用のもの 骨格材の肉厚が
4mmを超えるもの
34
骨格材の肉厚が
3mmを超え、4mm以下のもの
27
骨格材の肉厚が
3mm以下のもの
19
飲食店用・車庫用のもの 骨格材の肉厚が
4mmを超えるもの
31
骨格材の肉厚が
3mmを超え、4mm以下のもの
25
骨格材の肉厚が
3mm以下のもの
19
木造のもの 事務所用のもの 24
店舗用・住宅用のもの 22
飲食店用のもの 20
車庫用のもの 17
店用簡易装備 3
建物
付属設備
冷暖房設備 冷凍庫の出力が22キロワット以下のもの 13
電気設備(照明設備を含む) 蓄電池電源設備以外のもの 15
給排水・衛生設備、ガス設備 15

※構造・用途・細目の区分・耐用年数は2017年(平成29年)3月31日現在の法令に基づくものです。

中古資産を購入した場合

中古資産を購入した場合は、新品を購入した場合と耐用年数が変わります。中古資産の耐用年数の算出方法は、下記のとおりです。

<中古資産の耐用年数の算出方法>
  • 購入価額が、同じ商品を新品で購入した場合の取得価額の50%を超える場合は、法定耐用年数
  • 購入価額が、同じ商品を新品で購入した場合の取得価額の50%以下の場合は、その後の使用可能年数を見積もり
<見積もりが難しい場合の算出方法>
  • すでに法定耐用年数が経過後の資産:法定耐用年数の20%
  • 法定耐用年数の一部経過後の資産:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

計算した結果が2年未満の場合は、2年を耐用年数とします。また、端数は切り捨てです。

 

減価償却の方法

建物や建物附属設備などの資産は購入時に全てを必要経費とするのではなく、毎年減価償却により耐用年数で分割して必要経費にします。

減価償却の方法には定額法と定率法があります。
減価償却費の金額の総額は、どちらの方法を使用しても同じなので早期に必要経費化したい場合は、定率法を選定した方がよいです。

個人の場合、定率法を選択したい場合は事前に「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで定率法で計算することができます。
届出書が出されていない場合には定額法となります。

ただし、建物や2016年(平成28年)4月1日以後に取得した建物附属設備、構築物については定額法で計算しなければなりません。

■定額法

毎年の減価償却費が同額となるように計算する方法

2007年(平成19年)4月1日以後取得分 ・・・定額法=購入代金×償却率

■定率法

初期に減価償却費を多くし、年が経つに従って減価償却費が一定の割合で逓減するように計算する方法

定率法=前年末時点の未償却残高×償却率

(2007年[平成19年]4月1日以後取得分については保証率との比較計算により計算します。

 

 

 

減価償却のメリット

減価償却費は、数年のあいだ、毎年計上できます。そのため、購入した初年度だけでなく、長期的に経費を増やし、その分、利益を圧縮する効果が見込めます。

先程、利益を圧縮するというご説明をしましたが、減価償却はあくまでも帳簿上の処理で、実際に支出があるわけではありません。

購入時に支払いを行った後は、実際の現金の減少を伴わずに経費計上をしていくことができます。

 

減価償却費の仕訳方法

減価償却費の仕訳は、「直接法」または「間接法」で行います。どちらで計算しても税金の金額は変わりませんが、会計上の処理方法が変わります。どちらかを選んで仕訳をしましょう。

直接法による仕訳方法

直接法は、減価償却費を固定資産から直接差し引いていく方法です。

間接法による仕訳方法

間接法は、減価償却を行った金額を「減価償却累計額」として記録していく記帳方法です。
固定資産を直接減らすことはしません。

まとめ

ここまで固定資産税の計算方法や減税措置についてお伝えしてきました。

固定資産税は、固定資産の評価額と税率が分かれば自分で計算することができます。納税通知書を待たずに金額を把握できるため、資産計画に役立つといえるでしょう。

土地や家屋が軽減措置の対象となる場合は、申請を行って節税することができます。軽減措置の対象となる場合は、自分で申告期限までに手続きを行う必要があります。

また、固定資産の評価額が記載された納税通知書が届いたら、まずは自分で内容をしっかり確認しましょう。

なお、固定資産税の計算に困ったら以下の記事で紹介している税理士にご相談下さい。

 

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