各種の特殊な土地や建物の評価事例(国税庁のホームページより引用)

不動産の評価
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国税庁のホームページでは、各種の特殊な土地や建物を評価するための評価事例を掲載していますので、本記事にて紹介します。

なお、判りにくい表現の内容については、文章の修正やコメントを付けて理解し易い様にしています。

 

 

 

  1. 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価
    1. 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)
      1. 【回答】
      2. 特例を定めた建築基準法に規定する基準容積率
    2. 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(2)
      1. 【回答】
    3. 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価
      1. 【回答】
  2. 特殊な状況下での土地の評価
    1. 倍率方式によって評価する土地の実際の面積が台帳地積と異なる場合の取扱い
      1. 【回答】
    2. 固定資産税評価額が付されていない土地の評価
      1. 【回答】
    3. 土地区画整理事業施行中の宅地の評価
      1. 【回答】
    4. 造成中の宅地の評価
      1. 【回答】
    5. 農業用施設用地の評価
      1. 【回答】
    6. 農用地区域内等以外の地域に存する農業用施設の用に供されている土地の評価
      1. 【回答】
  3. 特殊な宅地の評価
    1. 一般定期借地権の目的となっている宅地の評価――簡便法(1)
      1. 【回答】
    2. 一般定期借地権の目的となっている宅地の評価――簡便法(2)
      1. 【回答】
    3. 複数の地目の土地を一体利用している貸宅地等の評価
      1. 【回答】
    4. 区分地上権の目的となっている宅地の評価
      1. 【回答】
    5. 区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の評価
      1. 【回答】
    6. 借地権と区分地上権に準ずる地役権とが競合する場合の宅地の評価
      1. 【回答】
    7. 貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価
      1. 【回答】
    8. 貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲
      1. 【回答】
    9. 従業員社宅の敷地の評価
      1. 【回答】
    10. 借地権の及ぶ範囲
      1. 【回答】
    11. 構築物の賃借人の土地に対する権利の評価
      1. 【回答】
  4. 宅地以外の地目での評価
    1. 農地の評価上の分類
      1. 【回答】
    2. 市街地農地等を宅地比準方式で評価する場合の形状による条件差
      1. 【回答】
    3. 生産緑地の評価
      1. 【回答】
    4. 生産緑地の評価
      1. 【回答】
    5. 市民農園として貸し付けている農地の評価
      1. 【回答】
    6. 農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価
      1. 【回答】
    7. 農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の評価
      1. 【回答】
    8. 認定事業計画に基づき貸し付けられている農地の評価
      1. 【回答】
    9. 10年以上の期間の定めのある賃貸借により貸し付けられている農地の評価
      1. 【回答】
    10. 特別緑地保全地区内で管理協定が締結されている山林の評価
      1. 【回答】
    11. 市民緑地契約が締結されている土地の評価
      1. 【回答】
    12. 風景地保護協定が締結されている土地の評価
      1. 【回答】
    13. 景観重要建造物である家屋及びその敷地の評価
      1. 【回答】
    14. 歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の評価
      1. 【回答】
    15. 市街化調整区域内にある雑種地の評価
      1. 【回答】
    16. 雑種地の賃借権の評価
      1. 【回答】
    17. 貸駐車場として利用している土地の評価
      1. 【回答】
    18. 臨時的な使用に係る賃借権の評価
      1. 【回答】
    19. 一時使用のための借地権の評価
      1. 【回答】
    20. 公開空地のある宅地の評価
      1. 【回答】
    21. 増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価
      1. 【回答】
    22. いいね:

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価に当たり、減額割合の計算を行う場合に適用する容積率は、指定容積率と基準容積率とのいずれによるのでしょうか。

【回答】

指定容積率と基準容積率とのいずれか小さい方の容積率によります。

(理由)
建築基準法は、道路、公園、上下水道等の公共施設と建築物の規模との均衡を図り、その地域全体の環境を守るために、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度を定めており、この割合を「容積率」といいます。

容積率には、都市計画にあわせて指定されるもの(指定容積率)と建築基準法独自のもの(基準容積率)とがあり、実際に適用される容積率は、これらのうちいずれか小さい方です。

財産評価基本通達20-7において適用する容積率もいずれか小さい方であり、この場合の基準容積率は、建築基準法第52条第2項の規定によるものをいいます。

(注) この取扱いは、減額調整方法としての統一基準を定めたものであることから、減額割合の計算上は、容積率の制限を緩和する特例を定めた建築基準法に規定する基準容積率は関係ありません。

特例を定めた建築基準法に規定する基準容積率

  • 1特定道路との関係による容積率の制限の緩和
  • 2都市計画道路がある場合の特例
  • 3壁面線の指定がある場合の特例
  • 4一定の条件を備えた建築物の場合の特例

 

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価をする場合の留意事項は何でしょうか。

【回答】

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価についての留意事項は以下のとおりです。

1 1画地の宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上であるが、その正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がない場合には、財産評価基本通達20-7による容積率の格差による減額調整を行いません。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の図1

2 その宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上である場合で、その正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がある場合には、異なる容積率の部分との違いによる減額調整を行います。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の図2

(注) この場合の調整計算に当たっては、容積率500%地域は容積率400%地域と一体であるものとして取扱い、容積率400%地域と容積率300%地域との格差の調整計算とします。

容積率の格差に基づく減額率の算式

3 1画地の宅地が2以上の路線に面する場合において、正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額について容積率の格差による減額調整を行った価額が、正面路線以外の各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額のいずれかを下回る場合には、容積率の格差による減額調整を適用せず、正面路線以外の路線の路線価について、それぞれ奥行価格補正率を乗じて計算した価額のうち最も高い価額となる路線を当該画地の正面路線とみなして、財産評価基本通達15(奥行価格補正)から20-6(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)までの定めにより計算した価額によって評価します。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の図3

(1) 正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額に容積率の格差による減額調整を行った価額
600,000円×1.00-(600,000円×1.00×0.167)=499,800円

(2) 裏面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額
500,000円×1.00=500,000円

(3) (1)<(2)となるので、容積率の格差による減額調整の適用はなく、裏面路線を正面路線とみなして、当該画地の評価額を求めます。
なお、この場合、宅地の価額は最も高い効用を有する路線から影響を強く受けることから、正面路線とみなされた路線(裏面路線)の路線価の地区区分に応じた補正率を適用することに留意してください。

(注) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。

次の図のように、容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となっている場合、財産評価基本通達24-7(都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価)に定める補正率表の適用に当たり、「容積率」は、1都市計画道路予定地に係る部分の容積率によるべきでしょうか、それとも2各容積率を加重平均して求められる容積率(建築基準法第52条第7項)によるべきでしょうか。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価の説明図

【回答】

2各容積率を加重平均して求められる容積率によります。

(理由)

 都市計画道路予定地の区域内にある宅地は、地域の土地利用が高層化されているなど立体的利用が進んでいる地域に存するものほど都市計画事業により土地の効用を阻害される割合は大きくなり、また、評価対象地に占める都市計画道路予定地の面積の割合が大きくなるほど土地価格に及ぼす影響は大きくなるという実態を踏まえ、宅地全体の容積率に対する補正率(しんしゃく率)を定めています。

したがって、財産評価基本通達24-7に定める補正率表を適用する場合の基となる容積率は、実際の都市計画道路予定地に係る容積率によるよりも、宅地全体の容積率、すなわち各容積率を加重平均して求められる容積率によるのが合理的と考えられます。

 

 

 

特殊な状況下での土地の評価

固定資産課税台帳に登録されている地積が実際の面積と異なる土地を倍率方式で評価する場合には、具体的にはどのように計算するのでしょうか。

【回答】

土地の価額は、課税時期における実際の面積に基づいて評価します。

ところで、固定資産課税台帳に登録されている地積は、原則として、登記簿地積とされていますから、実際の面積と異なる場合があります。

このような土地を倍率方式により評価する場合には、土地の実際の面積に対応する固定資産税評価額を仮に求め、その金額に倍率を乗じて計算した価額で評価する必要があります。

この場合、仮に求める固定資産税評価額は、特に支障のない限り次の算式で計算して差し支えありません。

その土地の固定資産税評価額の算式

 

倍率方式により評価する土地について、課税時期の直前に払下げがあったこと等により固定資産税評価額が付されていない場合には、どのように評価するのでしょうか。

また、課税時期直前に地目変更等があり現況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合には、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

倍率方式により評価する土地について、課税時期において、固定資産税評価額が付されていない場合及び地目の変更等により現況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合には、その土地の現況に応じ、状況が類似する付近の土地の固定資産税評価額を基とし、付近の土地とその土地との位置、形状等の条件差を考慮して、その土地の固定資産税評価額に相当する額を算出し、その額に評価倍率を乗じて評価します。

ただし、相続税等の申告書の提出期限までに、その土地に新たに固定資産税評価額が付された場合には、その付された価額を基として評価します。

 

土地区画整理事業の施行地区内にある土地について、仮換地の指定を受けています。この場合の土地の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

土地区画整理事業の施行地区内にある宅地について、土地区画整理法第98条(仮換地の指定)の規定に基づき仮換地が指定されている場合には、その宅地の価額は、仮換地の価額に相当する価額によって評価します。

ただし、その仮換地の造成工事が施行中で、当該工事が完了するまでの期間が1年を超えると見込まれる場合の仮換地の価額に相当する価額は、その仮換地について造成工事が完了したものとして、路線価方式又は倍率方式によって評価した価額の100分の95に相当する価額によって評価します。

この場合において、換地処分により徴収又は交付されることとなる清算金のうち、課税時期において確実と見込まれるものがあるときには、その金額を評価上考慮して、徴収されるものは仮換地の価額から減算し、交付されるものは加算して評価します。

なお、仮換地が指定されている場合であっても、次の事項のいずれにも該当するときには、従前の宅地の価額により評価します。

1 仮換地について使用又は収益を開始する日を別に定めるとされているため、当該仮換地について使用又は収益を開始することができないこと

2 仮換地の造成工事が行われていないこと

 

課税時期において、評価する土地が宅地造成工事中である場合には、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

造成中の宅地の価額は、その土地の造成工事着手直前の地目により評価した課税時期における価額とその宅地の造成に要した費用現価の80%相当額との合計額によって評価します。

この場合の費用現価とは、課税時期までに投下した造成費用(例えば、埋立て費、土盛り費、土止め費、地ならし費等)の額を課税時期の価額に引き直した額の合計額をいいます。

 

財産評価基本通達24-5に定める農業用施設用地の価額は、どのように評価するのですか。

【回答】

農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域内又は市街化調整区域内に存する農業用施設用地の価額は、その宅地が農地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、その農地を課税時期において当該農業用施設の用に供されている宅地とする場合に通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を加算した金額に、その宅地の地積を乗じて計算した金額によって評価します。

ただし、農業用施設用地であっても、いわゆる条例指定区域内(都市計画法第34条第11号の規定に基づき都道府県等が条例で定めた区域)に存するため用途変更に制限のない農業用施設用地など、その位置、都市計画法の規定による建物の建築制限の内容等により、その地域における農業用施設用地以外の宅地の価格水準で取引されると見込まれるものについては、その付近にある宅地(農業用施設用地を除く)の価額に比準して評価します。

農業用施設用地の価額=(農地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額+1平方メートル当たりの造成費相当額)×地積

(注) 「農業用施設用地」とは、農業用施設(畜舎、蚕室、温室、農産物集出荷施設、農機具収納施設など、農業振興地域の整備に関する法律第3条第3号及び第4号に規定する施設をいいます。)の用に供されている宅地をいいます。

 

農用地区域内等以外の地域に存する農業用施設の用に供されている土地については、どのように評価するのですか。

【回答】

その農業用施設の用に供されている土地の地目に従い、通常の宅地又は雑種地の評価方法により評価します。

(理由)

1 農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域内又は市街化調整区域内(以下「農用地区域内等」といいます。)に存する農業用施設の用に供されている土地については、開発行為や建築物の建築等の土地の利用が制限されており、その用途が農業用に限定されていることから、その土地が農地であるとした場合の価額に、その農地を当該農業用施設の用に供されている土地とする場合に通常必要と認められる造成費相当額を加算した金額によって評価することとしています。

2 一方、農用地区域内等以外の地域に存する土地、すなわち、都市計画区域内の市街化調整区域外の土地(農用地区域内を除きます。)及び都市計画区域外の土地(農用地区域内を除きます。)は、開発行為、建築物の建築等の土地利用に関して農用地区域内等のような制限がないので、これらの地域に存する農業用施設の用に供されている土地の価額の水準はその付近に存する通常の宅地や雑種地と同程度の価格水準になっていると考えられます。

したがって、これらの地域に存する農業用施設の用に供されている土地については、その地目に従い、通常の宅地又は雑種地の評価方法により評価することになります。

(注) 「農業用施設」とは、畜舎、蚕室、温室、農産物集出荷施設、農機具収納施設など、農業振興地域の整備に関する法律第3条第3号及び第4号に規定する施設をいいます。

 

 

 

特殊な宅地の評価

個別通達「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」(平成10年8月25日付課評2-8外)に定める底地割合の適用は、財産評価基本通達27-2(定期借地権等の評価)の原則的評価方法と選択できるのでしょうか。

【回答】

財産評価基本通達27-2の原則的評価方法と選択はできません。

(理由)
個別通達における一般定期借地権の目的となっている宅地の評価方法は、財産評価基本通達27-2の原則的評価に代えて適用することとしたものですが、納税者の便宜を考慮して定めたものであり、評価の安全性にも配慮しているので、いずれか有利な方を選択することはできません。

例えば、普通借地権割合のE(借地権割合50%)地域にある定期借地権の目的となっている宅地(底地)について、実際の保証金等の割合が2割であっても、その底地については80%をベースとして評価することはできず、65%をベース(底地割合)として評価することになります。

なお、これは、物納申請を行う場合にも同様です。

 

個別通達「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」(平成10年8月25日付課評2-8外)に定める、「課税上弊害がある」ものとされている親族等の範囲は具体的にはどのような範囲ですか。

【回答】

「課税上弊害がある」ものとされている親族等の範囲は、具体的には次のとおりです。

通達該
当番号
範囲
(1) 「親族」~民法第725条参照

  1. 6親等内の血族
  2. 配偶者
  3. 3親等内の姻族
(2)
  1. 借地権設定者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  2. 1の親族でその者と生計を一にしているもの
(3)
  1. 借地権設定者の使用人
  2. 使用人以外の者で借地権設定者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
  3. 1又は2の親族でその者と生計を一にしているもの
(4) 借地権設定者が会社役員となっている場合の当該会社。この場合の会社役員とは、次の1又は2の者をいう。

  1. 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人
  2. 1以外の者で法人の経営に従事している者のうち、次に掲げる者(法令7)
    イ 法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの(法基通9-2-1参照)
    ⇒相談役、顧問その他これに類する者で、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事している者
    ⇒使用人としての職制上の地位のみを有する営業所長、支配人、主任等は含まれない。
    同族会社の使用人のうち、特定株主に該当する場合(注)上記法人は、2ロ以外、同族、非同族を問わない。
(5) 借地権設定者、その親族、上記(2)及び(3)に掲げる者並びにこれらの者と特殊の関係にある法人を判定の基礎とした場合に「同族会社」に該当する法人(法人税法施行令第4条第2項)
(6) 上記(4)又は(5)に掲げる法人の役員又は使用人
(7)
  1. 借地権設定者が、他人とともに借地人となる場合に限り、自己を借地人として借地権を設定する場合
  2. 地権設定者が、他にも土地所有者以外の借地権者が存する場合で、後発的に借地権者となった場合(中古定期借地権を取得した場合)

 

甲は、次の図のように、宅地と雑種地を乙に貸し付けています。この場合の甲の所有する宅地及び雑種地の価額はどのように評価するのですか。

※ B土地には、乙が構築物を設置して駐車場として利用しています。
また、賃貸借契約の残存期間は5年です。

【回答】

A、B土地を一団の土地として評価した価額を、各々の地積の割合に応じてあん分し、A土地については借地権の価額を、B土地については賃借権の価額をそれぞれ控除して評価します。

図の場合において、B土地の賃借権の割合を5%とすると、具体的にはそれぞれ次のように評価します。

A土地とB土地とを一体として評価した価額

(400,000円(正面路線価)×1.00(奥行価格補正率)+250,000円(側方路線価)×0.99(奥行価格補正率)×0.03(側方路線影響加算率)×450平方メートル=183,341,250円

A土地の評価額(貸宅地の評価額)

183,341,250円(A、B一体の価額)×(200平方メートル÷(250平方メートル+200平方メートル))×(1-0.6(借地権割合))=32,594,000円

B土地の評価額(貸し付けられている雑種地の評価額)

183,341,250円(A、B一体の価額)×(250平方メートル÷(250平方メートル+200平方メートル))×(1-0.05(借地権割合))=96,763,437円

(説明)

 A、B土地に設定された権利は異なります(借地権及び賃借権)が、権利者が同一であり一体として利用していることから、その貸宅地(底地)等についても「1画地の宅地」として一体で評価します。

 

本来地上8階地下2階のビルが建築できるのですが、地下鉄のトンネルの所有を目的とする区分地上権が設定されていることにより、地上5階地下1階の建物しか建築できない土地(自用地価額50億円)があります。このような土地の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

区分地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から財産評価基本通達27-4(区分地上権の評価)の定めにより評価したその区分地上権の価額を控除した金額によって評価します。

この場合、区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(区分地上権の割合)を乗じて計算した金額によって評価します。

仮に、この土地の階層別利用率が次の図のようであるとした場合には、次のように評価します。

階層別利用率の図

区分地上権の目的となっている宅地の評価の計算例1

なお、地下鉄等のずい道の所有を目的として設定した区分地上権を評価するときにおける区分地上権の割合は、100分の30とすることができます。

区分地上権の目的となっている宅地の評価の計算例2

(注) 「土地利用制限率」は、土地の利用が防げられる程度に応じて適正に定めた割合であり、公共用地の取得に伴う損失補償基準細則別記2で定められています。

 

特別高圧架空電線の架設を目的とする地役権が設定されている次の図のような宅地の価額はどのように評価するのでしょうか。

特別高圧架空電線の架設を目的とする地役権が設定されている宅地の図

【回答】

地役権が設定されている宅地の価額は、承役地である部分も含め全体を1画地の宅地として評価した価額から、その承役地である部分を1画地として計算した自用地価額を基に、土地利用制限率を基に評価した区分地上権に準ずる地役権の価額を控除して評価します。この場合、区分地上権に準ずる地役権の価額は、その承役地である宅地についての建築制限の内容により、自用地価額に次の割合を乗じた金額によって評価することができます。

(1) 家屋の建築が全くできない場合……………50%と承役地に適用される借地権割合とのいずれか高い割合

(2) 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合…30%

 図の場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合を30%とすると、次のように評価します。

地役権の割合を30%とした場合の、区分地上権に準ずる地役権の価額の計算例

 

 

 

借地権と高圧架空電線の架設を目的とする区分地上権に準ずる地役権とが設定されている宅地の価額はどのように評価するのですか。

【回答】

借地権と区分地上権に準ずる地役権とが競合して設定されている承役地である宅地の価額は、その宅地の自用地価額から区分地上権に準ずる地役権の価額とその宅地に区分地上権に準ずる地役権が設定されていることに伴う調整をした後の借地権の価額を控除した価額によって評価します。

(設例)

自用地価額
5,000万円・・・丸1
借地権割合
60%
区分地上権に準ずる地役権の割合
30%
建物の建築制限概念図

(計算例)

区分地上権に準ずる地役権の価額

5,000万円(自用地価額)×0.3(区分地上権に準ずる地役権の割合)=1,500万円・・・丸2

借地権の価額

5,000万円(自用地価額)×0.6(借地権割合)×(1-0.3)(区分地上権に準ずる地役権の割合)=2,100万円・・・丸3

借地権と区分地上権に準ずる地役権とが競合する場合の宅地の価額

5,000万円(丸1)-1,500万円(丸2)-2,100万円(丸3)=1,400万円

 

借家人が立ち退いた後、空き家となっている家屋(独立家屋)の敷地についても、貸家建付地として評価することができますか。

 

【回答】

貸家建付地の評価をする宅地は、借家権の目的となっている家屋の敷地の用に供されているものに限られます。したがって、以前は貸家であっても空き家となっている家屋の敷地の用に供されている宅地は、自用地価額で評価します。また、その家屋がもっぱら賃貸用として新築されたものであっても、課税時期において現実に貸し付けられていない家屋の敷地については、自用地としての価額で評価します。

(理由)
家屋の借家人は家屋に対する権利を有するほか、その家屋の敷地についても、家屋の賃借権に基づいて、家屋の利用の範囲内で、ある程度支配権を有していると認められ、逆にその範囲において地主は、利用についての受忍義務を負うこととなっています。そこで、貸家の敷地である貸家建付地の価額は、その宅地の自用地としての価額から、その価額にその宅地に係る借地権割合とその貸家に係る借家権割合との相乗積を乗じて計算した価額を控除した価額によって評価することとしています。

しかし、たとえその家屋がもっぱら賃貸用として建築されたものであっても、課税時期において現実に貸し付けられていない家屋の敷地については、土地に対する制約がなく、したがって、貸家建付地としての減価を考慮する必要がないことから、自用地としての価額で評価します。

 

学生専用の賃貸アパートの半分程度の部屋が空室でしたが、この空室部分は、3月上旬まで入居していた学生が卒業のため退去した部分で、新しく入居する学生を募集しており、3月末には全部の部屋が実際に賃貸されています。例年、このような状況の中、たまたま空室が多い時が課税時期となっていますが、この賃貸アパートとその敷地はどのように評価すればよいですか。

【回答】

課税時期において、アパートの一部に借家人がいることから、貸家及び貸家建付地として評価します。
貸家及び貸家建付地の価額は、それぞれ次の算式により評価します。この場合において、賃貸割合は、原則として、課税時期において実際に賃貸されている部分の床面積に基づいて算定しますが、一時的に空室となっている部分の床面積を実際に賃貸されている部分の床面積に加えて算定して差し支えありません。

(貸家の価額=自用の家屋の価額-自用の家屋の価額×借家権割合×賃貸割合)(貸家建付地の価額=自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借地権割合×賃貸割合)

(説明)

1 取扱いの概要

 借家権の目的となっている家屋は貸家として、その貸家の敷地の用に供されている宅地は貸家建付地として評価することとなり、それらの価額は、上記の算式により評価します。

これら算式における「賃貸割合」は、その貸家が構造上区分された数個の部分(各独立部分)からなっている場合において、次の算式により算定します。

賃貸割合=Aのうち課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計(B)÷その貸家の各独立部分の床面積の合計(A)

 この割合の算定に当たって、継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる各独立部分がある場合には、その各独立部分の床面積を、賃貸されている各独立部分の床面積(B)に加えて賃貸割合を計算して差し支えありません。

2 「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分の範囲

 アパート等の一部に空室がある場合の一時的な空室部分が、「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分に該当するかどうかは、その部分が、1各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか、2賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか、3空室の期間、他の用途に供されていないかどうか、4空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか、5課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうかなどの事実関係から総合的に判断します。

 

従業員社宅の敷地の用に供されている宅地の価額については、貸家建付地の価額で評価するのでしょうか。

【回答】

貸家建付地評価をする宅地は、借家権の目的となっている家屋の敷地の用に供されている宅地をいいます。ところで、社宅は、通常社員の福利厚生施設として設けられているものであり、一般の家屋の賃貸借と異なり賃料が極めて低廉であるなどその使用関係は従業員の身分を保有する期間に限られる特殊の契約関係であるとされています。

そしてこのことから、社宅については、一般的に借地借家法の適用はないとされています。

したがって、社宅の敷地の用に供されている宅地については、貸家建付地の評価は行いません。

 

郊外にあるレストランやパチンコ店のように、賃借した広い土地を建物の敷地と駐車場用地とに一体として利用している場合には、その土地全体に借地権が及ぶものとして評価してよいのでしょうか。

【回答】

借地権の及ぶ範囲については、必ずしも建物敷地に限られるものではなく、一律に借地権の及ぶ範囲を定めることは実情に沿いません。借地権の及ぶ範囲は、借地契約の内容、例えば、権利金や地代の算定根拠、土地利用の制限等に基づいて判定することが合理的であると考えられます。

なお、建物の敷地と駐車場用地とが、不特定多数の者の通行の用に供されている道路等により物理的に分離されている場合には、それぞれの土地に存する権利を別個に判定することとなります。

 

野球場、ゴルフ練習場、プール等の構築物を賃借している場合には、建物の賃借人がその建物の敷地に対して有する権利と同様に、構築物の敷地に対して有する権利を考慮する必要があるのでしょうか。

【回答】

建物の賃貸借については、借地借家法の適用があり、財産評価基本通達では借家人がその借家の敷地である宅地等に有する権利の評価方法を定めています(ただし、その権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しないこととしています。)。

しかし、構築物の賃貸借については法律上の特別の保護を与えられたものでないこと等から、原則として、構築物の賃借人の構築物の敷地に対する権利は評価しません。

また、構築物の賃借人の構築物に対する権利についても同様とします。

なお、貸し付けられている構築物の敷地の価額は、自用地価額で評価します。

 

 

 

宅地以外の地目での評価

農地を評価する場合には、どのような基準によりどのように分類するのでしょうか。

【回答】

農地は、農地法及び都市計画法等との関係によって、次の「評価上の分類」のいずれかに分類して評価します。

農地の評価上の分類の図

 

市街地農地や市街地周辺農地の価額を付近の宅地の価額を基に、その宅地との位置、形状等の条件の差を考慮して評価する場合に、形状の条件差については、路線価方式における奥行価格補正率等の画地調整率によってよろしいですか。

【回答】

路線価地域にある市街地農地や市街地周辺農地を宅地比準方式により評価する場合のその農地と付近の宅地との形状による条件の差については、評価する農地の所在する地区について定められている画地調整率を参考として計算して差し支えありません。

また、倍率地域にあるものについては、普通住宅地区の画地調整率を参考とすることができます。市街地山林及び市街地原野の価額を宅地比準方式により評価する場合についても同様です。

 

生産緑地に係る主たる従事者が死亡した場合の生産緑地の価額は、どのように評価するのですか。

【回答】

生産緑地に指定されると、原則として、告示の日から30年間は、建築物の建築、宅地の造成等はできないといういわゆる行為制限が付されることになります(生産緑地法8)。このような生産緑地の価額は、行為制限の解除の前提となっている買取りの申出のできる日までの期間に応じて定めた一定の割合を減額して評価することとしています。

ところで、この買取りの申出は30年間経過した場合等(注)のほか、その生産緑地に係る農林漁業の主たる従事者が死亡したときにもできる(生産緑地法10)こととされていることから、主たる従事者が死亡した時の生産緑地の価額は、生産緑地でないものとして評価した価額の95%相当額で評価します。

(生産緑地法の概要)

対象地区
  1. 丸1 市街化区域内の農地等であること
  2. 丸2 公害等の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全の効用を有し、公共施設等の用地に適したものであること
  3. 丸3 用排水等の営農継続可能条件を備えていること
地区面積 500平方メートル以上(市町村が条例により300平方メートルまで引下げ可能)
建築等の制限  宅地造成・建物等の建築等には市町村長の許可が必要(農林漁業を営むために必要である一定の施設及び市民農園に係る施設等以外の場合は原則不許可)
買取り申出  生産緑地の指定から30年経過する日(申出基準日)等(注)以後又は生産緑地に係る主たる農林漁業従事者又はそれに準ずる者の死亡等のとき、市町村長へ時価での買取り申出が可能(不成立の場合は、3ヶ月後制限解除)
特定生産緑地の指定  申出基準日までに生産緑地を特定生産緑地として指定が可能
特定生産緑地の指定期限の延長  申出基準日から10年経過する日までに指定期限の延長が可能(以後、繰り返し10年の延長が可能)

(注) 特定生産緑地の指定がされた場合には、買取りの申出ができる日が申出基準日から10年延期されます。さらに、特定生産緑地の指定期限の延長がされた場合には、買取りの申出ができる日が10年延長されます(生産緑地法10の5)。

 

生産緑地に係る主たる従事者が死亡した場合の生産緑地の価額は、どのように評価するのですか。

【回答】

生産緑地に指定されると、原則として、告示の日から30年間は、建築物の建築、宅地の造成等はできないといういわゆる行為制限が付されることになります(生産緑地法8)。

このような生産緑地の価額は、行為制限の解除の前提となっている買取りの申出のできる日までの期間に応じて定めた一定の割合を減額して評価することとしています。

ところで、この買取りの申出は30年間経過した場合等(注)のほか、その生産緑地に係る農林漁業の主たる従事者が死亡したときにもできる(生産緑地法10)こととされていることから、主たる従事者が死亡した時の生産緑地の価額は、生産緑地でないものとして評価した価額の95%相当額で評価します。

(生産緑地法の概要)

対象地区
  1. 丸1 市街化区域内の農地等であること
  2. 丸2 公害等の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全の効用を有し、公共施設等の用地に適したものであること
  3. 丸3 用排水等の営農継続可能条件を備えていること
地区面積 500平方メートル以上(市町村が条例により300平方メートルまで引下げ可能)
建築等の制限  宅地造成・建物等の建築等には市町村長の許可が必要(農林漁業を営むために必要である一定の施設及び市民農園に係る施設等以外の場合は原則不許可)
買取り申出  生産緑地の指定から30年経過する日(申出基準日)等(注)以後又は生産緑地に係る主たる農林漁業従事者又はそれに準ずる者の死亡等のとき、市町村長へ時価での買取り申出が可能(不成立の場合は、3ヶ月後制限解除)
特定生産緑地の指定  申出基準日までに生産緑地を特定生産緑地として指定が可能
特定生産緑地の指定期限の延長  申出基準日から10年経過する日までに指定期限の延長が可能(以後、繰り返し10年の延長が可能)

(注) 特定生産緑地の指定がされた場合には、買取りの申出ができる日が申出基準日から10年延期されます。さらに、特定生産緑地の指定期限の延長がされた場合には、買取りの申出ができる日が10年延長されます(生産緑地法10の5)。

 

生産緑地地区内の農地を、いわゆる特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の定めるところにより地方公共団体に市民農園として貸し付けていますが、このような農地はどのように評価するのでしょうか。

【回答】

照会の借地方式による市民農園は、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律(以下「特定農地貸付法」といいます。)に規定する特定農地貸付けの用に供するためのものであり、農地所有者と農地の借手である地方公共団体との間で行われる賃貸借及び当該地方公共団体と市民農園の借手である住民との間で行われる賃貸借については、農地法第18条に定める賃貸借の解約制限の規定の適用はないものとされています。

したがって、当該市民農園の用に供されている農地は耕作権の目的となっている農地には該当しません。このため、当該市民農園は、生産緑地としての利用制限に係る斟酌と賃貸借契約の期間制限に係る斟酌とを行うことになります。

この場合、賃貸借契約の期間制限に係る斟酌は、原則として、財産評価基本通達87(賃借権の評価)(2)の定めに準じて、賃借権の残存期間に応じ、その賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合とされます。

ただし、次の要件の全てを満たす市民農園の用に供されている農地については、残存期間が20年以下の法定地上権割合に相当する20%の斟酌をすることとして差し支えありません。

(1) 地方自治法第244条の2の規定により条例で設置される市民農園であること

(2) 土地の賃貸借契約に次の事項が定められ、かつ、相続税及び贈与税の課税時期後において引き続き市民農園として貸し付けられること

  • 1 貸付期間が20年以上であること
  • 2 正当な理由がない限り貸付けを更新すること
  • 3 農地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

(注) この適用を受けるためには、相続税又は贈与税の申告書に一定の書類を添付する必要があります。

(参考)
生産緑地地区内の農地で、特定農地貸付法の定めるところにより地方公共団体以外の者に市民農園として貸し付けられている農地及び都市農地の貸借の円滑化に関する法律の定めるところにより市民農園として貸し付けられている農地についても、上記と同様に生産緑地としての利用制限に係る斟酌と賃貸借契約の期間制限に係る斟酌とを行うことになります。

 

 

 

農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地はどのように評価するのでしょうか。

【回答】

農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(理由)

 農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により設定されている賃借権に係る農地の賃貸借については、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新などの適用が除外されており、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではありません。

そのため、この農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(注) なお、その賃貸借に基づく賃借権の価額(その農地の自用地としての価額の100分の5相当額)については、相続税又は贈与税の課税価格に算入する必要はありません。

農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地はどのように評価するのでしょうか。

【回答】

農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第4項に規定する農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(注) 農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものを除きます。

(理由)

 農地中間管理機構に貸し付けられている農地の賃貸借については、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新の規定の適用が除外され、また、同法第18条(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項本文の規定の適用が除外されるなど、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではありません。

このため、農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

なお、農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき農地中間管理機構に貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものについては、農地法第17条本文及び同法18条第1項本文の規定が適用されますので、耕作権の目的となっている農地として評価します。

(注) 農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく農用地利用配分計画の認可の公告により設定された賃借権の価額については、相続税又は贈与税の課税価格に算入する必要はありません。

都市農地の貸借の円滑化に関する法律第4条の認定を受けた事業計画(以下「認定事業計画」といいます。)に従って賃借権が設定されている農地はどのように評価するのでしょうか。

【回答】

認定事業計画に従って賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(理由)
認定事業計画に従って賃借権が設定されている農地の賃貸借については、都市農地の貸借の円滑化に関する法律第8条により、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新などの適用が除外されており、この賃借権は、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではありません。

そのため、認定事業計画に従って賃借権が設定されている農地については、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(注)

  1. 1 その賃貸借に基づく賃借権の価額(その農地の自用地としての価額の100分の5相当額)については、相続税又は贈与税の課税価格に算入する必要はありません。
  2. 2 都市農地の貸借の円滑化に関する法律は、原則として、生産緑地法第3条第1項の規定により定められた生産緑地地区の区域内の農地を対象としていることから、その農地の自用地としての価額は、財産評価基本通達40-3(生産緑地の評価)により評価した価額になります。

10年以上の期間の定めのある賃貸借により貸し付けられている農地はどのように評価するのですか。

【回答】

10年以上の期間の定めのある賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(理由)
農地について10年以上の期間の定めのある賃貸借については、農地法第18条(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項本文の適用が除外されており、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではありません。

そのため、10年以上の期間の定めのある賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額の100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。

(注) なお、その賃貸借に基づく賃借権の価額(その農地の自用地としての価額の100分の5相当額)については、相続税又は贈与税の課税価格に算入する必要はありません。

 

 

 

特別緑地保全地区内にあり、管理協定が締結されている山林はどのように評価するのですか。

【回答】

管理協定制度は、地方公共団体又は緑地保全・緑化推進法人が、緑地保全地域内又は特別緑地保全地区内の緑地について土地所有者等による管理が不十分と認められる場合に、土地所有者等との間で緑地の管理のための協定(管理協定)を締結し、その土地所有者等に代わり緑地の保全及び管理を行う制度です。

特別緑地保全地域内にあり、次の要件の全てを満たす管理協定が締結されている山林については、財産評価基本通達50-2に定める特別緑地保全地区内にある土地として評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価します。

(1) 都市緑地法第24条第1項に規定する管理協定区域内の土地であること

(2) 管理協定に次の事項が定められていること

  1. 丸1 貸付けの期間が20年であること
  2. 丸2 正当な事由がない限り貸付けを更新すること
  3. 丸3 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

(注) この適用を受けるためには、相続税又は贈与税の申告書に一定の書類を添付する必要があります。

都市計画区域内又は準都市計画区域内にある市民緑地契約が締結されている土地は、どのように評価するのですか。

【回答】

市民緑地制度は、主として土地等の所有者からの申出に基づき、地方公共団体又は緑地保全・緑化推進法人が当該土地等の所有者と契約(市民緑地契約)を締結し、当該土地等に住民の利用に供する緑地又は緑化施設(市民緑地)を設置し、これを管理することにより、土地等の所有者が自らの土地を住民の利用に供する緑地又は緑化施設として提供することを支援・促進し、緑の創出と保全を推進することを目的とした制度です。

次の要件の全てを満たす市民緑地契約が締結されている土地については、市民緑地契約が締結されていないものとして財産評価基本通達の定めにより評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価します。

  • (1) 都市緑地法第55条第1項に規定する市民緑地であること
  • (2) 土地所有者と地方公共団体又は緑地保全・緑化推進法人との市民緑地契約に次の事項が定められていること
    • 1 貸付けの期間が20年以上であること
    • 2 正当な事由がない限り貸付けを更新すること
    • 3 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

(注) この適用を受けるためには、相続税又は贈与税の申告書に一定の書類を添付する必要があります。

 

風景地保護協定が締結されている土地は、どのように評価するのですか。

【回答】

風景地保護協定制度とは、環境大臣若しくは地方公共団体又は自然公園法第49条の規定に基づく公園管理団体が、国立・国定公園内の自然の風景地について、土地所有者等による管理が不十分であると認められる場合等に、土地所有者等との間で風景地の保護のための管理に関する協定(風景地保護協定)を締結し、当該土地所有者等に代わり風景地の管理を行う制度です。

なお、都道府県立自然公園においても、同法第74条により風景地保護協定を締結することができる旨を条例に定めることができることとされています。

次の要件の全てを満たす風景地保護協定が締結されている土地については、風景地保護協定区域内の土地でないものとして財産評価基本通達の定めにより評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価します。

  • (1) 自然公園法第43条第1項に規定する風景地保護協定区域内の土地であること
  • (2) 風景地保護協定に次の事項が定められていること
  1. 貸付けの期間が20年であること
  2. 正当な事由がない限り貸付けを更新すること
  3. 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

(注) この適用を受けるためには、相続税又は贈与税の申告書に一定の書類を添付する必要があります。

 

景観法に基づき景観重要建造物に指定された建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地は、どのように評価するのですか。

【回答】

景観行政団体の長は、景観計画に定められた景観重要建造物の指定の方針に即し、地域の自然、歴史、文化等からみて、その外観が景観上の特徴を有し、景観計画区域内の良好な景観の形成に重要なものであるなど、一定の基準に該当する建造物(これと一体となって良好な景観を形成している土地その他の物件を含みます。)を、景観重要建造物として指定することができることとされています(景観法第19条)。

この景観重要建造物の指定を受けた建造物については、原則として、景観行政団体の長の許可を受けなければ、増築、改築、移転若しくは除却、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更をしてはならないこととされている(景観法第22条)など、財産評価基本通達24-8(文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価)及び89-2(文化財建造物である家屋の評価)に定める伝統的建造物と同程度の法的規制、利用制限を受けることとなります。

このことから、景観法に基づき景観重要建造物に指定された家屋及びその敷地の用に供されている宅地については、財産評価基本通達5(評価方法の定めのない財産の評価)の定めに基づき、同通達24-8及び89-2に定める伝統的建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地の評価方法に準じて、それが景観重要建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地でないものとした場合の価額から、その価額に100分の30を乗じて計算した価額を控除した金額によって評価します。

 

 

 

地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(以下、「歴史まちづくり法」といいます。)に基づき歴史的風致形成建造物に指定された建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地は、どのように評価するのですか。

【回答】

市町村長は、認定歴史的風致維持向上計画に記載された重点区域(以下「認定重点区域」といいます。)内の歴史上価値の高い重要無形文化財又は重要無形民俗文化財の用に供されることによりそれらの価値の形成に寄与している建造物その他の地域の歴史的な建造物であって、現に認定重点区域における歴史的風致を形成しており、かつ、その歴史的風致の維持及び向上のためにその保全を図る必要があると認められるもの(これと一体となって歴史的風致を形成している土地又は物件を含みます。)を、歴史的風致形成建造物として指定することができることとされています(歴史まちづくり法第12条)。

この歴史的風致形成建造物の指定を受けた建造物については、原則として増築、改築、移転又は除却(以下「増築等」といいます。)をしようとする者は、増築等に着手する日の三十日前までに市町村長に届け出なければならないこととされている(歴史まちづくり法第15条)など、財産評価基本通達24-8(文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価)及び89-2(文化財建造物である家屋の評価)に定める登録有形文化財と同程度の法的規制、利用制限を受けることとなります。

このことから、歴史まちづくり法に基づき歴史的風致形成建造物に指定された家屋及びその敷地の用に供されている宅地については、財産評価基本通達5(評価方法の定めのない財産の評価)の定めに基づき、同通達24-8及び89-2に定める登録有形文化財である家屋及びその敷地の用に供されている宅地の評価方法に準じて、それが歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地でないものとした場合の価額からその価額に100分の30を乗じて計算した価額を控除した金額によって評価します。

市街化調整区域内にある雑種地はどのように評価するのですか。

【回答】

雑種地(ゴルフ場用地、遊園地等用地、鉄軌道用地を除きます。)の価額は、原則として、その雑種地の現況に応じ、評価対象地と状況が類似する付近の土地について評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地と評価対象地である雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて評価することとしています。

ところで、市街化調整区域内にある雑種地を評価する場合に、状況が類似する土地(地目)の判定をするときには、評価対象地の周囲の状況に応じて、下表により判定することになります。

また、付近の宅地の価額を基として評価する場合(宅地比準)における法的規制等(開発行為の可否、建築制限、位置等)に係るしんしゃく割合(減価率)は、市街化の影響度と雑種地の利用状況によって個別に判定することになりますが、下表のしんしゃく割合によっても差し支えありません。

しんしゃく割合表図

(注)1 農地等の価額を基として評価する場合で、評価対象地が資材置場、駐車場等として利用されているときは、その土地の価額は、原則として、財産評価基本通達24-5(農業用施設用地の評価)に準じて農地等の価額に造成費相当額を加算した価額により評価します(ただし、その価額は宅地の価額を基として評価した価額を上回らないことに留意してください。)。

  2 3の地域は、線引き後に沿道サービス施設が建設される可能性のある土地(都市計画法第34条第9号、第43条第2項)や、線引き後に日常生活に必要な物品の小売業等の店舗として開発又は建築される可能性のある土地(都市計画法第34条第1号、第43条第2項)の存する地域をいいます。

  3 都市計画法第34条第11号に規定する区域内については、上記の表によらず、個別に判定します。

雑種地の賃借権の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

雑種地の賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評価しますが、次のように評価することができます。

(1) 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権
雑種地の自用地価額×法定地上権割合と借地権割合とのいずれか低い割合

(2) (1)以外の賃借権
雑種地の自用地価額×法定地上権割合×1/2

(注)

1 「地上権に準ずる権利として評価することが相

当と認められる賃借権」には、例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどが該当します。

2 法定地上権割合とは、その賃借権が地上権であるとした場合に適用される相続税法第23条に定められた割合をいいます。この場合、その契約上の残存期間がその賃借権の目的となっている雑種地の上に存する構築物等の残存耐用年数、過去の契約更新の状況等からみて契約が更新されることが明らかであると認められる場合には、その契約上の残存期間に更新によって延長されると見込まれる期間を加算した期間をもってその貸借権の残存期間とします。

 

 

 

月極めの駐車場の用に供している土地の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

土地の所有者が、自らその土地を月極め等の貸駐車場として利用している場合には、その土地の自用地としての価額により評価します。

(理由)
土地の所有者が貸駐車場を経営することは、その土地で一定の期間、自動車を保管することを引き受けることであり、このような自動車を保管することを目的とする契約は、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なる契約関係ですから、この場合の駐車場の利用権は、その契約期間に関係なく、その土地自体に及ぶものではないと考えられるためです。

 

臨時的な使用に係る賃借権や賃貸借期間が1年以下の賃借権の価額については、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

臨時的な使用に係る賃借権及び賃貸借期間が1年以下の賃借権(賃借権の利用状況に照らして賃貸借契約の更新が見込まれるものを除く。)については、その経済的価値が極めて小さいものと考えられることから、このような賃借権の価額は評価しません。

また、この場合の賃借権の目的となっている雑種地の価額は、自用地価額で評価します。

 

甲は、建設現場に近接した土地について、工事事務所用の簡易建物の所有を目的とし、契約期間を2年とする土地の賃貸借契約を締結しています。この場合の借地権についても、その借地権の目的となっている土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて計算した金額により評価するのでしょうか。

【回答】

建設現場、博覧会場、一時的興行場等、その性質上一時的な事業に必要とされる臨時的な設備を所有することを目的とするいわゆる一時使用のための借地権については、存続期間及びその更新、建物買取請求、借地条件の変更、増改築などについて、借地借家法の適用がなく、期間の満了とともに消滅することとされており、他の法定更新される借地権に比較しその権利は著しく弱いということがいえます。

このような一時使用のための借地権の価額は、通常の借地権の価額と同様にその借地権の所在する地域について定められた借地権割合を自用地価額に乗じて評価することは適当でないので、雑種地の賃借権の評価方法に準じて評価します。

 

いわゆる総合設計制度により容積率の割増しを受け建物を建築する場合には、敷地内に一定の空地を設け、日常一般に公開することが許可の基準となっています。このようないわゆる公開空地として利用されている宅地については、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

建物の敷地として評価します。
建築基準法第59条の2のいわゆる総合設計制度では、建物の敷地内に日常一般に公開する一定の空地を有するなどの基準に適合して許可を受けることにより、容積率や建物の高さに係る規制の緩和を受けることができます。この制度によって設けられたいわゆる公開空地は、建物を建てるために必要な敷地を構成するものです。

 

所有する家屋について増改築を行いましたが、家屋の固定資産税評価額が改訂されていないため、その固定資産税評価額が増改築に係る家屋の状況を反映していません。このような家屋は、どのように評価するのでしょうか。

【回答】

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)又は93(貸家の評価)の定めにより評価します。

なお、償却費相当額は、財産評価基本通達89-2(文化財建造物である家屋の評価)の(2)に定める評価方法に準じて、再建築価額から当該価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数)のうちに占める経過年数(増改築等の時から課税時期までの期間に相当する年数(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は、1年とします。))の割合を乗じて計算します。

 

 

 

 

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