あなたの資産は、隠し口座やタンス預金をすると税務署にバレないと考えていませんか?
実は、国税庁は、各個人や会社の収入を常に監視することが可能な、「国税総合管理(KSK)システム」というものを導入しています。
簡単にいうと、このシステムは、国税庁の業務の効率化、簡素化を行うために開発されたシステムで、国民各個人のお金の入出金情報を全て管理しており、税務署内にて各個人のお金の出入りを各個人毎、会社毎に全て把握することが可能なシステムです。
今回は、この国税総合管理(KSK)システムについてご説明します。
国民の収入や資産は常に監視されています。
国民の収入や財産は、国税総合管理(KSK)システムでばれる
税務署は、KSK(ケイエスケイ)と呼ばれるシステムを使って、国民の収入や財産を把握しており、亡くなった方がどれくらいの財産を保有していたかを把握しています。
したがって、その税務署が想定していた財産より少ない申告がなされれば疑われてしまうのです。
KSKは全国の国税局と税務署をネットワークで結んでおり、納税者の過去の申告や納税の状況やその他の状況を一元的に管理しています。
税務署はこのシステムを使って納税者の情報を検索、分析し税務調査の対象を割り出しているのです。
税務 調査 税務署
国税庁HPより
KSKシステムが開発された背景と実施している内容
業務・システムの概要
国税庁は、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達及び税理士業務の適正な運営の確保を図ることを任務としています。
その任務を果たすため、国税関係業務は、申告書等の収受、申告書の処理、申請書・届出書等の処理、納税者管理、収納・還付、滞納整理、調査・指導、犯則の取締り、資料情報の収集・管理、税務一般に関する相談等の業務により構成されています。
これらの一連の業務には、国税総合管理システム(以下「KSKシステム」という。)、国税電子申告・納税システム(以下「e-Tax」という。)、集中電話催告システム、タックスアンサーシステム等のシステムが利用されています。
国税関係業務・システムの最適化に当たっては、IT化の一層の推進により効率化を図る観点から、各システムのみならず、システムに関連する業務の見直しもおこなっています。
- 業務を的確に実施するための事務処理の簡素化・効率化
- 電子データの有効活用等による事務の簡素化・効率化
- IT活用による調査・滞納整理に関するシステムの高度化
- システムの安定性・信頼性及び情報セキュリティの確保
- システム関係経費の削減及び調達の透明性の確保を図る
業務を的確に実施するための事務処理の簡素化・効率化
内部事務の一元化
必要となる法令上の手当てを行うとともに、事務処理手順の統合・標準化を図る。
具体的には、
- 一般税務相談
- 納税者管理(転出入処理等)
- 申告書等の収受
- 申告書の発送、入力
- 収納・還付
- 納税証明書の発行
などを一体的に処理し、事務の効率化に取組む。
電子データの有効活用等による事務の簡素化・効率化
国税庁の事務が納税者の権利・義務に直接影響を及ぼすものであることに十分配意しながら、システムを活用して事務処理の簡素化・効率化を図っていく。
- 地方公共団体と書面で連絡している所得税の確定申告書等の各種税務関連情報を相互にデータ送信することにより、申告書の管理などの事務を効率化する。
- e-Taxにより提出される申告書等について、電子データを活用し、KSKシステムへ自動でデータ連絡を行うなど、申告書等の入力事務等の簡素化に引き続き取組む。
- 調査支援資料について、データによるアウトプットを可能とし、調査事務に係る二次分析のための入力事務の軽減を図るなど、効率的なデータ活用を推進する。
- 電子データを活用し、税務署の部門間の連絡手段を書面からデータに変更するなどにより、事務処理の効率化を図る。
- 多様なニーズへの対応を可能とするために、e-Taxにおいて保有する情報の高度活用を検討する。
- その他、次の取組により、事務処理の簡素化・効率化を図った。
KSKシステムが保有する情報の活用による大規模法人の調査関連書類の作成事務の効率化(平成21年度)
e-Taxデータの統計事務への活用による調査票等の入力事務の簡素化(平成22年度)
IT活用による調査・滞納整理に関するシステムの高度化
調査・滞納整理の一層の充実を図るため、情報セキュリティに配意しつつ、次の取組により、国税関係システムの高度化を図る。
さらに、e-Taxの普及により蓄積される電子データが増加することから、こうしたデータの有効活用による更なる事務の高度化について検討する。
(1) 納税者に関する各種情報の相互活用等
納税者間の取引関係が多様化・広域化しており、これに対応するため、関連する情報を一体的に把握するとともに、金融資産や不動産等の資産情報を的確に把握する必要が高まっている。
このため、各部署が保有する情報の相互活用を図り、納税者の様々な情報をシステム上一元的に管理することにより、効率的な調査を行う。
(2) 調査選定における財務データ等の高度活用
所得税青色申告決算書及び収支内訳書の記載事項の充実、財務データの統計的手法に基づく分析システムの開発などによる調査選定事務の充実について検討する。
(3) 査察に関するシステムの高度化
KSKシステムとOAシステムで二元管理されている資料情報を一元化するなど、査察に関するシステムの高度化を図った(平成22年度)。
(4) 間接諸税・酒類関係に係るシステムの整備
間接諸税の犯則取締事務について、各国税局が保有する情報をデータベース上で共有化するシステムを構築し、情報の効果的な活用を図った(平成21年度)。
また、酒類関係に係るシステムについては、KSKシステムとOAシステムで二元管理されている情報を一元化した上で、酒類業者の経営状況等の分析を自動化し、情報の効果的な活用を図った(平成21年度)。
(5) 滞納整理に関するシステムの整備
消費税の新規課税事業者の増加に対応するとともに、悪質・処理困難事案に対してより厳正な処理を行うため、滞納事案に関する各種情報の管理・分析をシステム化し、的確な進行管理や処理展開を行う。
(6) 資産課税に関するシステムの整備
譲渡所得に関する調査対象を効率的に選定するための機能を開発するなど、資産課税に関するシステムの高度化を図る。
隠し財産(隠し口座やタンス預金)は税務署にバレる?
タンス預金がなぜ税務署にばれるのか
税務署は亡くなった方や相続人の預金残高や入出金の状況を把握しているということをご存じの方は多いかもしれません。これは事実です。
したがって、相続した銀行預金を申告しないという方はなかなかいらっしゃらないと思います。
一方で、自宅のタンスにいくら入っているかなんて税務署にわかるわけがないと思われるかもしれません。
しかし、税務署が本気を出せば、あの手この手でタンス預金の存在がわかってしまうのです。
多額の出金でばれる
銀行は預金者の入出金の履歴を、通常最低10年分は保管しています。
したがって、税務署は最低でも亡くなる10年前まで遡って入出金を調べることが可能です。
この間に多額の出金があり、かつその使い道が不明なものがあれば、タンス預金を疑われてしまうのです。
タンス預金の入金でばれる
タンス預金などの亡くなった方の手もとに残っていた現金を相続した相続人は、そのお金を自分の銀行口座に入金する場合が多いでしょう。
税務署が相続人の預金残高や入出金の状況も把握しているということは上述した通りです。
相続が発生した後に相続人の預金口座に銀行口座からの振込みによる入金ではなく、大量の現金の預入があったら税務署はどう思うでしょうか?
当然疑われることになり、その権限を活かして入念な調査を行うでしょう。
なお、2024年には新紙幣への切替も予定されていますが、今後、旧紙幣で相続したタンス預金を持て余してしまい、銀行に預入れたタイミングでタンス預金の存在を把握されるということも起こりえるでしょう。
タンス預金は少額であれば税務署にばれないのか?
税務署にもマンパワーや、調査能力の限界があるのも事実です。
数万円の不明入出金を疑い出せばきりがありませんし、それに対して追加で徴収できる相続税もわずかなものです。
一般的に、タンス預金の疑いがかかるのは100万円以上と言われています。
したがって、100万円を超えない金額であれば、ばれない可能性はあります。
タンス預金のばれない隠し方
お金を銀行に預けるのが不安だから自宅に保管したいという方も数多く居るかと思います。
泥棒からばれない隠し場所という意味では、タンスだけでなく、本棚、冷蔵庫、屋根裏、庭の土の中などいろいろとばれない隠し方が考えられると思います。
しかし、税務署にばれない隠し場所という意味では、どこに隠しても同じと思ってください。
税務署は家の中にあるお金を監視しているのではなく、家の外で発生した入出金を管理しているのですから、一生使用しないという選択肢を選ばない限り、必ずバレると思って下さい。
税務調査で慌てない方法
今までご説明した様に、あなたの隠し財産がある場合に税務調査を受けると100%バレます。
相続税の申告者の4件に1件は税務調査が入ります。しかも、調査される人は大金持ちという訳ではなく、家を持っており資産が1,000万円位のごくごく一般的な方が多いです。
そして、財産が1億円以下の場合でも、税務署から何らかの指摘を81.8%の人は受けており、平成27年度の調査では、相続税の平均額は2,571万円に対して平均489万円を徴収されています。
税務署の調査が入ると、最初午前中は家族のことを色々聞いてきて、徐々に核心に迫ってきます。
外堀を埋めながら調査されるので、逃れることはできません。
相続税は、隠そうとせずに堂々と法律の中での節税を行い、疑われ無いようにするべきです。
例えば、「名義預金」や「連年贈与」は必ず疑われます。
「名義預金」の注意
「名義預金」とは、相続において、亡くなった方(被相続人)が配偶者や子供・孫の名義で、財産を残しているものを名義預金といいます。 相続税の税務調査で必ずと言っていいほど調査されるのが、この名義預金です。
生前贈与をする場合には、必ず以下のことが必要になります。
- 両者の認識の合致
- 管理処分権限の移譲
通帳の名義だけ変更しても駄目で、贈与される人が、通帳、印鑑、キャッシュカードを保有しており、その人が自由にお金の出し入れができる必要があります。
これができていないと、「名義預金」とみなされ相続税の課税対象となってしまいます。
特に成人の場合で入金しか無い通帳は疑われますので注意が必要です。
預金通帳は、所有者本人が必ず使用した実態を残す様にして下さい。
「暦年贈与」の注意
「暦年贈与」をするときは、必ず、毎年「贈与契約書」を契約者本人の直筆で作成す様にして下さい。
また、贈与された金額が110万円を超える場合には必ず申告しましょう。
中途半端に111万円の贈与などすると逆に税務署から目をつけられてしまうので、必ず実態に合った申告をして下さい。
また、贈与金額が110万円以下であっても、必ず「贈与契約書」は作成するようにして下さい。
成人未満の小さな子どもの場合には、親権者が代理でサインすることが認められているので問題ありません。
また、贈与の記録を残す意味でも、金銭のやり取りは預金通帳を使用して行う様にしましょう。
マイナンバーの本格導入に伴い、より厳密な管理がされる
最近、デジタル庁によるマイナンバーで保険証や運転免許を管理する話が上がっていますが、政府は、銀行口座やクレジット、更にポイントの管理等にまで導入を考えているようです。
また、インボイス制度の導入により、消費税の細かな把握が成されるため、各企業の詳細な金銭の使い道もバレてしまいます。
こうなってしまうと、誰がいつ、どこで、何に使ったかまで政府に管理されてしまうことになりかねません。
そして、確定申告等で収支が合わない場合には、税務署からの厳しい追求が来ることになります。
今から、安定した資産を子孫に残していくためにはどうしたら良いかを考えていく必要があります。
以下の記事では、税務調査に強い税理士を紹介していますので、是非参考にして下さい。
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