ご高齢でお亡くなりになった方が一軒家でひとり暮らし。
割とある話ではありませんか?
ある家庭の話です。
65歳の老婆の話です。
35年前に夫婦で共働きしながらやっと購入した家の住宅ローンの支払いが先日やっと終わりました。
息子は8年前に結婚して都心でマンション暮らしです。娘は3年前に結婚して子供も1人います。
夫は、5年前に亡くなり今はひとり暮らしです。
夫の残してくれた財産はこの家と1,000万円の貯金です。
家のローン600万円位を一気に返済して、今は手元に200万円位しかありません。
家は田舎にあるため、子ども達ともここ2年位は顔を合わせていません。
歳のせいか最近体調が優れない状況が続いています。
この様なご家庭で、この老婆が死亡するとどうなるでしょうか?
相続財産は200万円しか無いので、葬式費用やお墓代等で殆ど費やします。問題は家です。
最初、長男は家を売却することを検討しましたが、不動産会社から「300万円で購入します。」と連絡が来ました。
その頃、丁度、母が死んで約9ヶ月位の時期でしたので、税理士に依頼して相続税を計算して貰った所、300万円位掛かるとの事でした。
そのため、不動産会社に再度連絡した所、土地はそれなりに良い場所だが、家がボロボロなので殆ど値が付かないと言われてしまいました。
相続申告の時期も間近に迫っていたので、とりあえず、家を残し、相続税を支払うことにしました。
今回は、この様なご家庭の家の相続についてのお話です。
残された家どうしますか?
このご長男が最初に行わないといけないことは、「不動産登記」です。
不動産登記の義務化は2024年4月1日から施行されます。
以下で詳しく説明します。
「不動産登記」とは?
相続により不動産を取得した方は、始めに「不動産登記」をしなければなりません。
相続により取得した「不動産登記」は、一般的には「相続登記」と言われます。
相続登記とは、被相続人から相続した自宅、アパートなどの不動産の名義を被相続人から不動産を相続した相続人に変更する名義変更登記手続きをいいます。
親などから相続した相続財産の中に不動産が含まれている場合には、相続登記をする必要があります。
今まで、相続登記は行わなくても罰則などが課せられなかったため、必要がなければ費用もかかるので、手続きをしない方も多くいらっしゃいました。
相続登記がなされないことで、所有者が特定できず「有効な土地利用ができない」ということで国レベルで大きな問題となっています。
このため、国は、所有者不明の土地を無くす為に、相続登記の義務化を2024年4月1日から施行することになりました。
相続登記は、2024年4月1日から義務化されるのですが、この義務化は、法改正以前に所有している相続登記・住所等の変更登記が済んでいない不動産についても義務化されます。
なお、相続で不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由がなく登記・名義変更手続きをしないと10万円以下の過料の対象となります。
以下の記事で、不動産登記の詳細を説明していますので。是非ご覧下さい。
「空き家」を放置する危険性
次に考えなければいけないことは、「空き家」の有効活用です。
「空き家」とは、1 年以上住んでいない、または使われていない家と定義されています。
判断基準としては、人の出入りや、電気・ガス・水道の使用状況、物件の管理状況、所有者の利用実績などが挙げられています。
この「空き家」が「特定空家等」に指定されてしまい所定の期間内での改善しないと、今まで1/6に減額されていた土地の固定資産税は原則通りの金額になります。つまりこれまでの負担の最大6倍になってしまいます。
「特定空家等」になる条件としては、以下に該当する場合です。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
→建物の破損や不朽、門や看板などの崩壊の危険性の恐れがある状態。 - 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
→汚物の異臭、ゴミの放置による害獣などが繁殖し衛生上有害となる恐れのある状態 - 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
→建物に汚物や落書き、立ち木の繁殖、既存の景観に関するルールに著しく適合していない状態。 - その他周辺の生活環境の保全を図るために 放置することが不適切である状態
→立木が近隣に散乱、動物の鳴き声や糞尿の臭気、不審者の侵入や雪落の危険性など近隣住民の生活に悪影響を及ぼしている状態。
「特定空家等」に指定される前に早めに「空き家」の有効活用を行いましょう。
空き家の有効活用
「空き家」の活用方法としては、以下の3つが考えられます。
- 「空き家」の売却
- 更地にして駐車場等にする
- 「空き家」を改築、建て直ししてアパート経営
『1.「空き家」の売却』は、不動産会社とコミュニケーションを取りながら長い期間を掛けて価格が上昇するのを待つしかありません。しかしながら、一度、不動産会社にて提示された金額は、不動産会社間で共有されるので、今後値上がるすることは余り望めません。
なお、「空き家」を売却すると所得税が発生します。
『2.更地にして駐車場等にする』は、「空き家」の解体が必須となります。
「空き家」を解体するには解体費用が掛かるので、解体費用と駐車場等による収益とを比較して何年で元が取れるかシミュレーションしてみる必要があります。
なお、固定資産税は「土地だけ」の場合は、価格が上がりますのでその分も経費として計算に加える必要があります。
『3.「空き家」を改築、建て直ししてアパート経営』は、「空き家」自体の土台がしっかりしていれば改築すると立派な家になりますので、販売価格も上昇が期待できますし、借家としても十分価値が出ます。
また、「建て直し」する場合には、それなりの費用が掛かってしまうので元が取れない可能性が十分あります。
これらのことから、「空き家」を解体するか、「改築」するというのが良い対策になるかと思います。
次の章では、「空き家」の解体についてご説明します。
「空き家」の解体
相続した「空き家」の解体費用は、建物の大きさや構造、立地等によって異なります。
そのため、おおよその費用を知るには、地域ごとの費用の目安に、その他の条件を加味します。
建物の構造による費用の違い
一般的な木造の家は取り壊ししやすいため、坪単価で3万円~が解体費用の目安とされています。
取り壊ししにくい頑丈な建物になればなるほど解体費用は高額となり、鉄筋コンクリート造であれば坪単価6万円~が目安です。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
3万円~5万円 | 4万円~6万円 | 6万円~8万円 |
建物の広さによる費用の違い
広い家はそれだけ解体に多くの費用がかかります。
また、平屋より2階建て、3階建ての場合や地下室がある場合も、取り壊す面積が広くなるため解体費用が高くなります。
母屋だけではなく、物置や車庫、庭の樹木やブロック塀の解体が必要なケースではさらに費用が上乗せされます。
そうしたエクステリアがあると、想定した以上に費用がかさんでしまうケースも少なくありません。
立地による費用の違い
一般に東京都などの都心部は解体費用が割高になります。東京と地方の家では50坪の家の場合で100万円程度も差がでることがあります。
東京都 | 地方 | |
20坪 | 100万円 | 60万円 |
30坪 | 150万円 | 90万円 |
40坪 | 200万円 | 120万円 |
50坪 | 250万円 | 150万円 |
60坪 | 300万円 | 180万円 |
100坪 | 500万円 | 300万円 |
※東京都:坪単価5万円 地方:3万円とした場合の概算
※地域・立地条件・大きさなどにより実際の解体費用は変わります。
同じ地域の建物でも、住宅密集地に建っている家を解体する場合は、車の出入りが大変であったり、ご近所からの苦情処理があったりと特別な配慮が必要で追加費用が発生するため割高になります。
物件の構造や広さ、建物の建つ地域以外でも、建物の立地・周辺環境など、解体費用は様々な条件で異なります。
このため、解体工事の費用は、住所や広さといった情報だけで算出されることはまずありません。
解体業者が事前の現地調査を行った上で、1件づつ個別に金額の見積もりが行われるのが通常の流れです。
大量な粗大ごみ等が放置されている場合
人の性格にも依存するのですが、生前住んでいた方が中々物を捨てることができない性格であった場合には、家に住みだしてから死ぬまでの間、壊れたりしたものを取っておくという性格の方が居ます。
物を大事にするというのは重要なことですが、30年、40年とそれを積み重ねていくと多くの価値が無いものが蓄積されてきてしまいます。
価値が無いものなので、質屋やリサイクルショップでも引き取って貰えない様なものです。
これらは、家電や鉄くず、燃えるもの、燃え無いもの等それぞれを種別してゴミ処理場で処分する必要があります。
ゴミ処理場では物によっては、処分費用が請求されてしまいます。
このため、解体工事の費用が高くなってしまうことがあります。
解体費用は相続税控除の対象にならない
解体費用は相続した家にかかる費用ですが、相続が発生した後で解体する場合には、相続税の計算時に控除することはできません。
しかしながら、相続後に土地を売却する際には譲渡費用として譲渡所得税から控除することが可能です。
解体費用は補助金が出る可能性がある
自治体によって条件や上限に違いはありますが、空き家問題解決のため、自治体が補助金を支給しているケースが多くあります。
自治体に、空き家があると以下の様な問題が発生することがあるので、補助金支給を行っている自治体が多いのです。
- 人がいないので放火など犯罪が発生しやすい
- 老朽化した建物は事故が起きる可能性が高い
- 街の景観を損ねる
- 不法投棄されやすい
こういった悪影響を避けるために、空き家の解体や有効活用を促進する補助金を出してくれるというわけです。
各自治体によって補助金が支給される条件が違いますので、お住まいの自治体で確認してみて下さい。
補助金が支給される主な要件は以下の様なものがあります。
- 一定期間(自治体によって異なる)使用されていない空き家であること
- 対象の市町村内にあること
- 倒壊や悪影響を及ぼす危険性があるもの
申請者の条件
- 空き家の所有者であること(複数人いる場合は全員の同意を得ていること)
- 市税の滞納がないこと
工事の条件
- 空き家の全部を解体すること
- 対象の市町村内の業者に発注すること
などが主な条件です。
基本的には工事着工前に申請しなくてはいけないので、事前に各自治体に確認してみて下さい。
「空き家」解体の流れ
遺産相続した家を解体する場合の一般的な流れについてみていきます。
解体費用の見積もりを取得
「空き家」を解体する場合には、先ず、解体業者を選定する必要があります。
解体業者の選び方がわからない!というとき、この記事で紹介している「解体の窓口」が役にたちます。
- 登録の解体業者1,100社は自治体から認可を受けた、優良業者のみ。
- よくある一括見積サイトのように、しつこい電話がかかってくることはありません。
- 見積もりがオークション形式で届くので、付近の解体費用相場と最安値がわかります。
- 工事を依頼してもしなくても費用は一切かかりません。お断り代行も致します。
- わずか45秒の入力でAIによる解体工事のシミュレーション金額が確認できます。
解体工事費の見積もりが出たら、内容をよく確認します。複数業者から見積もりをとると良いでしょう。
業者ごとに内容や金額が大きく違う場合は確認し、信頼できる業者を見つけてることが重要です。
注意点としては、契約の前には、必ず現場を診て貰う様にして下さい。
現場の状況によっては費用が変更される可能性があります。
現場を一緒に確認して段取りを聞いておくと良いでしょう。
解体工事
解体工事の前には以下の様な幾つかの申請が必要になります。
詳しくは、解体業者の方に、どちらが申請を出すのか事前確認をしておく必要があります。
- 80平米以上の解体を行う場合など、建設リサイクル法の対象となる工事では、解体工事の7日前までに都道府県知事への事前申請を行う必要があります。
- 道路使用許可申請は、工事車両の駐車に家の前の道路を使用する場合に、警察署で申請します。
- 近隣へは工事が始まる前に解体工事の説明をしておきましょう。解体工事は近隣からのクレームが発生することが多いため、事前の説明が重要です。
- 解体工事を進める前に家で使用していたガス・電気などのライフラインの停止を依頼しましょう。電話線やインターネット回線を引いている場合には、引き込み線の撤去を依頼する必要もあります。
建物滅失登記
家を解体したら、建物滅失登記が必要です。
期限は解体後1カ月以内とされており、登記をしないと不動産登記法により科料に処されるリスクがあるほか、取り壊し済みの家に対して固定資産税が発生します。
建物滅失登記は単独でも申請できますから、忘れずに行いましょう。
空き地の相続登記申請
家を取り壊して空き地となった土地は、早めに相続登記をしましょう。
相続登記自体には期限や登記をしないことによる罰則はありませんが、土地を売却したり担保にしたりする際には必ず登記が必要です。
登記をしないままでおくと次の相続で権利関係が複雑になってしまったり土地を活用しにくくなったりというリスクが生じてしまいます。
空き地の売却、又は、借地転用等
更地になり空き地となった土地を売却する場合、実際の売却までには時間がかかることを念頭におきましょう。
最短でも3カ月はかかると考えておいてください。
また、駐車場経営をするには、利用者と契約を結び月々の賃料を得る「月極駐車場」と、機械を導入し、利用者から随時利用料を得る「コインパーキング」の2つの方法があります。
駐車場経営のメリットは、土地の面積や形状によるしばりが少なく、狭小地でも活用できる点と、初期費用があまりかからない点にあります。
また、利用者が少ない場合や、将来的には別の目的で活用したい場合でも、更地に戻しやすいという特徴もあります。
なお、貸付用地とするため、砂利を敷くか、アスファルトで固める必要があります。
貸付用地とすることにより、固定資産税が安くなります。
その他、アパートを建てアパート経営することも可能ですが、初期投資必要が掛かるので十分利益が出ることを確認してから行う必要があります。
相続した「空き家」を解体するメリット・デメリット
「空き家」を解体するメリット
「空き家」を解体することにより、以下の様なメリットがあります。
空き家管理の負担がなくなる
空き家を管理するための維持費が無くなります。
実際には、光熱費や庭の手入れ等です。
土地の換価分割で遺産分割協議がスムーズに
家を解体して更地にすれば、その土地を他の相続人と分け合うことが可能です。
土地を売った代金を分割(換価分割)すれば、土地を公平に分割することができます。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用
故人が住んでいた家を相続人が3年以内(相続した年から3年後の12月31日まで)に売却すると、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けられる場合があります。
特別控除適用の要件に「家を耐震補強して売却した場合」もしくは「家を解体して更地にして売却した場合」というものがあり、更地にして売却した場合は後者にあてはまります。
「空き家」を解体するデメリット
固定資産税が高くなる
デメリットとして、固定資産税負担が増えることがあります。
住宅が建っている土地の場合「住宅用地に対する課税標準の特例措置」の適用対象となり、固定資産税は低く抑えられます。
最大200平方メートルまでの土地であれば、家が建っている場合と比べ固定資産税は6倍にまで高くなることになります。
このため、更地のままにしておくことはお勧めできません。
「空き家」を解体するのであれば、その後売るか、借地にする等の対策を適用する様にして下さい。
まとめ|「空き家」の解体は「解体の窓口」へ
- 自宅の建替え
→古い建物を解体し、新しい建物の建築を建築
ハウスメーカーに解体も依頼すると、下請けに工事を紹介するときのマージンが発生し、割高になるので、直接自身で解体業者へ依頼すると100万近く安くなることもあります。 - 売却
→古家付土地は、物件の利用価値がないと、更地の状態の方が高値で売却できる場合が良くあります。 - 土地活用
→古い家が建っている土地を更地にして、跡地にアパートや駐車場などを建てて収益化を狙うという方法があります。
特に、土地の売却先を探しながら駐車場等をすることにより、収益を得ながら売却が可能となります。 - 崩れてしまいそうな物件の解体
→夏にかけて多い台風や地震・大雪などの影響で崩れてしまった場合、
「空き家」は家が古くなっているため屋根が飛んだりして近隣に迷惑がかかってしまうことがあり、損害賠償責任を負うこともあります。
実際に相続した人が済むには不便なため、売却したいが直ぐに売れない。
せめて土地の維持費等を賄うことができれば良いが、家が古すぎて借り手が居ない。
こんな時は、古い「空き家」取り壊し、土地の活用を図りましょう。
「空き家」を解体する場合には「解体の窓口」が役にたちます。
- 登録の解体業者1,100社は自治体から認可を受けた、優良業者のみ。
- よくある一括見積サイトのように、しつこい電話がかかってくることはありません。
- 見積もりがオークション形式で届くので、付近の解体費用相場と最安値がわかります。
- 工事を依頼してもしなくても費用は一切かかりません。お断り代行も致します。
- わずか45秒の入力でAIによる解体工事のシミュレーション金額が確認できます。
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